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眼感染症治療薬


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名称及び製剤 治療に関する項目 使用上の注意に関する項目 作用機序と体内動態 化学構造及び物性
アシクロビル

〔効〕単純ヘルペスウイルスに起因する角膜炎.

〔用〕(外)1日5回適量を塗瞼.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕び慢性表層角膜炎,結膜炎,角膜潰瘍,結膜びらん,眼瞼炎,一過性刺激.

〔妊〕有益性が危険性を上回る場合のみ.

〔小児〕安全性は確立されていない.

〔作用機序〕
抗ウイルス薬.ウイルス感染細胞内で,ウイルス誘導のチミジンキナーゼによりリン酸化されて,活性型のアシクロビル三リン酸となり,ウイルスDNAポリメラーゼの阻害,また基質となりウイルスDNA合成阻害,正常細胞内で作用しない.

〔体内動態〕
Cmax:2.80μM,
Tmax:約1.3hr(200mg)
t1/2:約2.5hr
血漿たん白結合率:約9〜20%
尿中排泄率:12%(800mg, 48hr)
主な代謝物:9-carboxyme-thoxymethyl guanine

mw:225.21
mp:約300℃(分解)
★白色〜微黄白色の結晶性粉末.においはない.味は苦い.
pKa:2.52, 9.35
★溶けにくい.
油水分配係数:0.06(オクタノール/pH7.0)

aciclovir
ゾビラックス
Zovirax
(住友,ウエルカム,参天)
―眼軟膏:3%

イドクスウリジン(局)

〔効〕単純ヘルペスウイルスに起因する角膜炎.

〔用〕(外)1回1〜2滴を1〜2時間毎に点眼.

〔慎〕角膜実質の深層潰瘍.

〔相〕ホウ酸との併用で易刺激性.

〔副〕眼瞼炎,結膜炎,刺激性,角膜上皮の微細欠損,羞明感,涙点閉塞.

〔妊〕投与しないことが望ましい.

〔貯〕冷暗所.

〔作用機序〕
ウイルスの核酸代謝拮抗作用.すなわちDNAウイルスの増殖過程でチミジンの取り込みに競合してウイルスの増殖抑制.

mw:354.10
mp:約176℃(分解)
★無色の結晶又は白色の結晶性の粉末で,においはない.
pKa:8.25
★溶けにくい.

idoxuridine
アイディーユー
I.D.U.
(住友,科研,千寿-武田)
―点眼液:0.1%
―眼軟膏:0.25%

配合剤
エコリシン
Ecolicin
(参天)
―点眼液・眼軟膏:1mL(1g)中ラクトビオン酸エリスロマイシン5mg, コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム5mg

〔効〕エリスロマイシン・コリスチン感受性菌による感染症(角膜潰瘍,急・慢性結膜炎,麦粒腫,涙嚢炎,眼瞼炎).

〔用〕(外)液:粉末を溶解液に用時溶解.2〜3時間毎に2〜3滴点眼.軟膏:1日数回塗瞼.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕過敏症.

〔作用機序〕
2種の抗生物質の配合により,その抗菌作用が広範囲の細菌性眼疾患の病原菌に及ぶ,エリスロマイシンはたん白合成阻害,静菌的,コリスチンは細胞膜合成阻害,殺菌的.

 

塩酸オキシテトラサイクリン(局)

〔効〕点眼液:トラコーマ,結膜炎(流行性角膜炎を含む),眼瞼炎(眼瞼縁炎を含む),角膜潰瘍,角膜炎,涙嚢炎,眼外傷・眼手術後の感染防止. 眼軟膏:(1)オキシテトラサイクリン,ポリミキシンB感性菌による外眼部・前眼部感染症(特に緑膿菌感染症). (2)眼外傷・手術後の感染防止.

〔用〕(外)1日1〜数回点眼.1日3〜6回塗瞼.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕眼瞼炎,結膜炎.長期連用により菌交代症.

〔作用機序〕
テトラサイクリン系抗生物質.広い抗菌作用を示す.細菌のたん白合成阻害による.緑膿菌に特に優れた作用を示す.ポリミキシンBを配合して,その抗菌スペクトルを広げた.

〔体内動態〕
血漿たん白結合率:22.6%

mw:496.9
★黄色の結晶又は結晶性の粉末でにおいはなく,味は苦い.
pKa:3.27, 7.32, 9.11
★溶けやすい.
油水分配係数:0.025(n-オククノール/pH7.5)
原体:Streptomyces rimosusが産生する抗生物質.

oxytetracycline HCl
テラマイシン
Terramycin
(ファイザー)
―油性点眼液:1%
基剤:流動パラフィン
―眼軟膏:0.5%, 硫酸ポリミキシンB 1万単位.

オフロキサシン

〔効〕有効菌種:ぶどう球菌属,れんさ球菌属,肺炎球菌,ミクロコッカス属,コリネバクテリウム属,ブランハメラ・カタラリス,シュードモナス属,緑膿菌,ヘモフィルス属,モラクセラ属,セラチア属,クレブシエラ属プロテウス属,アシネトバクター属,嫌気性菌,クラミジア・トラコマティス(眼軟膏のみ).適応症:眼瞼炎,麦粒腫,涙嚢炎,結膜炎,瞼板腺炎,角膜炎,角膜潰瘍,術後感染症,トラコーマ(眼軟膏のみ).

〔用〕(外)液:1回1滴1日3回点眼. 軟膏:1日3回適量を塗布.

〔禁〕本剤及びキノロン系抗菌剤過敏歴.

〔副〕〔重大な副作用〕ショック. 〔その他の副作用〕過敏症.点眼液で刺激症状.びまん性表層角膜炎.

〔妊〕有益性が危険性を上回る場合のみ.

〔作用機序〕
ニューキノロン系抗菌剤.細菌のDNA合成酵素系であるDNAジャイレースを特異的に阻害し,DNA複製を阻害.抗菌作用は殺菌的.

〔体内動態〕
血漿たん白結合率:約30%

mw:361.37
mp:260〜270℃(分解)
★帯微黄白色〜淡黄白色の結晶又は結晶性粉末.においはなく,味は苦い.
pKa:5.74, 7.90
★溶けにくい.
油水分配係数:0.33(n-オククノール/pH7.0)

ofloxacin
タリビッド
Tarivid
(参天)
―点眼液:0.3%,
―眼軟膏:0.3%

ノルフロキサシン

〔効〕有効菌種:ノルフロキサシン感受性のぶどう球菌属,れんさ球菌属,肺炎球菌,腸球菌属,コリネバクテリウム属,ミクロコッカス属,バシラス属,ブランハメラ・カタラーリス,クラブシエラ属,エンテロバクター属,セラチア属,プロテウス属,シュードモナス属,緑膿菌,フラボバクテリウム属,ヘモフィルス属(インフルエンザ菌,ヘモフィルス・エジプチウム(コッホ・ウィークス菌)),モラクセラ属,アシネトバクター属,アルカリゲネス属. 適応症:眼瞼炎,麦粒腫,涙嚢炎,結膜炎,瞼板腺炎,角膜炎,角膜潰瘍,術後感染症.

〔用〕1回1滴,1日3回点眼.

〔禁〕本剤又はキノロン系合成抗菌剤に過敏症の既往歴.

〔副〕刺激症状,結膜充血,そう痒感,眼瞼発赤,眼瞼腫脹,表在性角膜炎,角膜上皮剥離.

〔作用機序〕
細菌のDNA-DNAジャイレース結合物に結合してジャイレース活性を阻害し,DNAの複製を阻害する.

〔体内動態〕
Cmax:1.14μg/mL,
Tmax:1hr(200mg p.o.)
Cmax:0.42μg/mL,
Tmax:2.3hr(小児2.2〜4mg/kg p.o.)
t1/2:2.74hr, 2.3hr(小児)
F:30〜40%
Vd:3.2L/kg
CL:7.2mL/min/kg
血漿たん白結合率:2.2〜6.4%
尿中排泄率:42.6%(p.o., 8hr)
主な代謝物:3-オキソ体, アミノ体, ホルミル体, エチレンジアミン体, アセチルエチレンジアミン体

mw:319.34
mp:220〜224℃
★白色〜淡黄色の結晶性の粉末で,においはなく,味は苦い.
pKa:6.34, 8.75
★ほとんど溶けない.
油水分配係数:0.46(n-オククノール)

norfloxacin
ノフロ
Noflo
(萬有)
バクシダール
Baccidal
(杏林)
―点眼液:0.3%
pH:5.0〜5.6
浸透圧比:約1

配合剤
コリマイC
Colimy C
(科研)
―点眼液:1mL中コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム10万単位, クロラムフェニコール2.5mg

オフサロン, コリナコール

〔効〕緑膿菌を主とするグラム陰性桿菌による混合感染又はその可能性のある外眼感染症:角膜潰瘍,外傷性角膜炎,角膜浸潤,術後感染症・その予防,眼瞼炎,流行性角結膜炎,急性・慢性カタル性結膜炎,ろ胞性結膜炎.

〔用〕(外)1回2〜3滴,1日4〜5回.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕接触性皮膚炎→中止.クロラムフェニコール点眼剤の長期投与で骨髄形成不全.

〔貯〕10℃以下,遮光.

〔作用機序〕
コリスチン(殺菌)とクロラムフェニコール(静菌)の併用は,ある一定の濃度の条件下に顕著な相乗作用(前者がまず細胞膜に作用し,後者の細胞内移行を容易にし,たん白合成阻害)がみられ,緑膿菌などによる混合感染症に効果を現す.

 
スルベニシリンナトリウム

〔効〕緑膿菌,インフルエンザ菌,コッホ・ウィークス菌ぶどう球菌,れんさ球菌,肺炎球菌による外眼部感染症:眼瞼炎,涙嚢炎,麦粒腫,瞼板腺炎,角膜潰瘍,結膜炎,角膜炎,術後感染症・感染防止.

〔用〕(外)添付溶解液に溶解.1回1〜2滴,1日3〜6回.重症時1時間毎に1回.

〔禁〕本剤ショック既往歴. 〔原則禁忌〕本剤・ペニシリン系薬過敏歴.

〔慎〕セフェム系薬過敏歴,本人・血族にアレルギー体質.

〔副〕ショック,結膜充血,眼瞼発赤・腫脹,そう痒感,刺激感→中止.

〔貯〕溶解後は冷所.8日以内に使用.

〔作用機序〕
合成ペニシリン.増殖期にある黄色ぶどう球菌,緑膿菌などのグラム陽性・陰性菌の細菌細胞壁の合成阻害,作用は殺菌的.

〔体内動態〕
血漿たん白結合率:54.9%
尿中排泄率:70%

mw:458.41
★白色〜淡黄色,においはない.わずかに塩味.
[α]20D:+167〜+182°(水)
pKa:1以下, 2.5〜2.7
★極めて溶けやすい.

sulbenicillin sodium
サルペリン
Sulpelin
(千寿-武田)
―点眼液:1%
塩酸セフメノキシム

〔効〕有効菌種:ぶどう球菌属,れんさ球菌属,肺炎球菌(腸球菌を除く),緑膿菌,インフルエンザ菌,ヘモフィルス・エジプチウム(コッホ・ウイークス菌),モラクセラ・ラクナータ(モラー・アクセンフェルド菌),プロテウス属,セラチア・マルセスセンス,プロピオニバクテリウム・アクネス.適応症:眼瞼炎,麦粒腫,涙嚢炎,結膜炎,瞼板腺炎,角膜炎,角膜潰瘍,術後感染症.

〔用〕(外)溶解液に溶解,1回1〜2滴,1日4回点眼.

〔禁〕本剤ショック歴. 〔原則禁忌〕本剤・セフェム系薬過敏歴.

〔慎〕ペニシリン系薬過敏歴,本人・血族にアレルギー体質.

〔副〕〔重大な副作用〕ショック. 〔その他の副作用〕刺激感,そう痒感,結膜充血→中止.

〔貯〕溶解後は冷所.7日以内に使用.

〔作用機序〕
セフェム系抗生物質.グラム陽性・陰性の好気性菌及び嫌気性菌に対する細胞壁ペプチドグリカン架橋形成阻害作用が強く,細胞壁合成阻害.殺菌的.

mw:529.78
mp:130℃付近から黄変約190℃炭化,明確な融点,分解点を示さない.
★白色〜淡だいだい黄色,においはないか又はわずかに特異なにおい.
[α]20D:-27〜-35°(水)
pKa:2.97, 3.54
★極めて溶けにくい.

cefmenoxime HCl
ベストロン
Bestron
(千寿-武田)
―点眼液:0.5%

トブラマイシン

〔効〕有効菌種:緑膿菌,ぶどう球菌,れんさ球菌,肺炎球菌,ヘモフィールス属(インフルエンザ菌,コッホ・ウィークス菌),モラクセラ属(モラー・アクセンフェルド菌).適応症:眼瞼炎,涙嚢炎,麦粒腫,結膜炎,角膜炎,角膜潰瘍.

〔用〕(外)1回1〜2滴,1日4〜5回点眼.

〔禁〕本剤・アミノ糖系抗生物質・バシトラシン過敏歴.

〔副〕眼瞼の腫脹・発赤,結膜の腫脹・充血,そう痒感,刺激痛,刺激感.

〔貯〕遮光.

〔作用機序〕
アミノグリコシド系抗生物質. 細菌のリボソーム30Sサブユニットにおいて細菌のたん白合成阻害により抗菌作用(殺菌的).緑膿菌に対してはゲンタマイシンやジベカシンより優れた殺菌作用.

〔体内動態〕
Cmax:28〜100μg/mL,
Tmax:30min(1drop 結膜嚢)
尿中排泄率:80〜85%(8hr)

mw:467.52
mp:218〜225℃
★白色〜微黄色の吸湿性の粉末.においはないか又はわずかに特異なにおい.
[α]25D:+141.4°〜141.8°
pKa:7.18
★溶けやすい.
Streptomyces tenebrariusの培養によって産生されるNebramycinと呼ばれる一群の抗生物質複合体から単離.

tobramycin
トブラシン
Tobracin
(シオノギ)
―点眼液(劇):0.3%
硫酸ミクロノマイシン(局)

〔効〕有効菌種:ぶどう球菌,溶血れんさ球菌,肺炎球菌,アシネトバクター,コッホ・ウィークス菌,モラー・アクセンフェルド菌,緑膿菌.適応症:眼瞼炎,麦粒腫,涙嚢炎,結膜炎,角膜炎.

〔用〕(外)1回1〜2滴,1日3〜4回点眼.

〔禁〕本剤・アミノ糖系抗生物質・バシトラシン過敏歴.

〔副〕結膜や眼瞼の充血・発赤,局所そう痒感,刺激痛,刺激感,表層角膜炎,眼瞼皮膚炎.

〔作用機序〕
アミノグリコシド系抗生物質. 細菌のたん白合成阻害,同時に細胞膜破壊(殺菌的).アミカシン,ジベカシン,トブラマイシン,シソマイシンに耐性を示す緑膿菌,セラチアなどに有効.

〔体内動態〕
血漿たん白結合率:約11%

mw:708.76
mp:約230℃(分解)
★白色〜淡黄白色,無臭.吸湿性.
[α]20D:+110〜130°(水)
pKa:8.37
★極めて溶けやすい.

micronomicin sulfate
サンテマイシン
Santemycin
(参天)
―点眼液(劇):0.3%
ピマリシン

〔効〕角膜真菌症.

〔用〕(外)液:用時振とう.1回1〜2滴,1日6〜8回. 軟膏:1日4〜5回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕刺激感,結膜充血,眼瞼炎,角膜びらん,そう痒感.

〔妊〕有益性が危険性を上回る場合のみ.

〔小児〕安全性が確立されていない.

〔作用機序〕
抗真菌剤.真菌や原虫の細胞質膜を障害(膜のエルゴステロールと結合する)して透過性を変え,低分子内容物の漏出により殺菌的に作用.

mw:665.74
mp:150〜200℃で分解しはじめ,明確な融点を示さない.
★白色〜黄白色の結晶性粉末.
[α]20D:+235〜+255°(氷酢酸)
★ほとんど溶けない.

pimaricin
ピマリシン
Pimaricin
(千寿-武田)
―点眼液:5%
―眼軟膏:1%


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