名称及び製剤 |
治療に関する項目 |
使用上の注意に関する項目 |
作用機序と体内動態 |
化学構造及び物性 |
グルタミン酸アルギニン |
〔効〕高アンモニア血症.
〔用〕(注)1回20〜200mLを1日1〜数回,1時間以上で点滴静注.
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〔慎〕重篤な腎障害.
〔相〕併用注意:麻酔薬,バルビツール酸類,イソニアジド,イオン交換樹脂製剤,利尿薬.
〔副〕しびれ感,顔面のつっぱり感,熱感,頭痛,悪心・嘔吐,心悸亢進,胸部不快感.
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〔作用機序〕
グルタミン酸からのグルタミン形成及びアルギニンからの尿素形成が血中アンモニア濃度を低下させる.
〔体内動態〕
生体内でL-アルギニンとL-グルタミン酸に解離する.
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mw:321.22
mp:197℃(分解)
★無色の結晶性粉末,無臭,わずかに旨味のある特有な味.
[α]20D:+28〜30°(塩酸)
★極めて溶けやすい.
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arginine glutamate
アルギメート
Argimate
(HMR)
―注:200mL中20g
pH:6.0〜7.0
浸透圧比(生理食塩液対比):1.6〜2.0
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グルタチオン |
〔効〕(内)薬物中毒,アセトン血性嘔吐症(自家中毒,周期性嘔吐症),金属中毒,妊娠悪阻,晩期妊娠中毒.
(注)(1)薬物中毒,アセトン血性嘔吐症. (2)慢性肝疾患における肝機能の改善. (3)急・慢性湿疹,皮膚炎,蕁麻疹,リール黒皮症,肝斑,炎症後の色素沈着.
(4)妊娠悪阻・晩期妊娠中毒. (5)角膜損傷の治癒促進. (6)放射線療法・抗癌剤投与及びその他の原因による白血球減少症の予防・治療,放射線宿酔,放射線による口腔粘膜の炎症.
〔用〕(内)1日50〜300mgを1〜3回に分服. (注)1回100〜200mgを筋注・静注.
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〔副〕〔重大な副作用〕(注)アナフィラキシー様症状→中止. 〔その他の副作用〕
発疹→中止.食欲不振,悪心・嘔吐,(内)胃痛.
〔貯〕散:防湿.
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〔作用機序〕
還元型グルタチオンはSH基により酸化還元系に関与して解毒作用をするが,この他にも助酵素的な役割を果たす反応,メルカプツール酸の生成及びその他の解毒機構への関与,SH酵素又はその他の細胞成分の保護あるいは活性化,細胞分裂・細胞の増殖等でなんらかの役割を果たす.
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mw:307.32
mp:185℃(分解)
★白色の結晶性粉末.
[α]25D:-15.5〜-18.5°(水)
pKa:2.12, 3.53, 8.65, 9.12
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glutathione
タチオン
Tathion
(山之内)
―散:1g中200mg
―錠:50mg, 100mg
―注:100mg, 200mg, 300mg, 600mg
pH:5.0〜7.0
浸透圧比(生理食塩液対比):1.0〜1.5
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L-グルタミン酸ナトリウム |
〔効〕高アンモニア血症.
〔用〕(注)20〜40mLを5%ブドウ糖に混合したもの約100mLを点滴静注.
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〔慎〕重篤な腎障害.
〔副〕しびれ感,顔面のつっぱり感,熱感,頭痛,悪心・嘔吐,心悸亢進,胸部不快感.
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〔作用機序〕
グルタミン酸からのグルタミン形成が血中アンモニア濃度を低下する.
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mw:187.13
★無色〜白色の結晶,又は白色結晶性粉末,特異な味がある.
[α]20D:+24.8〜25.3°(塩酸)
★溶けやすい.
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monosodium-L- glutamate monohydrate
アンコーマ
Ancoma
(東亜新薬,鳥居)
―注:20mL中4g
pH:6.5〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比):約8
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チオプロニン |
〔効〕〔用〕(内)(1)慢性肝疾患における肝機能の改善:1日300mgを3回に分服.
(2)初期老人性皮質白内障:1日100〜400mgを1〜2回に分服. (3)水銀中毒時の水銀排泄増加:1日300〜600mgを3回に分服.
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〔禁〕本剤過敏症.
〔副〕〔重大な副作用〕中毒性表皮壊死症,天疱瘡様症状,黄疸→中止.間質性肺炎,重症筋無力症.
〔その他の副作用〕そう痒感,発疹,発熱,皮膚の発赤→中止.麻疹様皮疹,扁平苔癬→中止,顆粒球減少→中止,食欲不振,悪心・嘔吐,腹痛,下痢,味覚異常→減量・休薬.長期・大量投与でたん白尿,ネフローゼ症候群→減量・休薬.インスリン自己免疫症候群,倦怠感,手足のしびれ感.
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〔作用機序〕
代謝酵素の多くは活性中心にSH基をもち,SH化合物により賦活されるので,肝臓の細胞保護作用,種々の酵素系の活性化,代謝促進がある.
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mw:163.20
mp:96〜99℃
★白色の結晶性粉末,特異なにおいと酸味がある.
pKa:3.59, 8.81
★極めて溶けやすい.
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tiopronin
チオラ
Thiola
(参天)
―錠:50mg, 100mg
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プロトポルフィリンナトリウム |
〔効〕慢性肝疾患における肝機能の改善.
〔用〕(内)1日60〜120mgを3回に分服.
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〔副〕日光皮膚炎→中止.悪心・嘔気,下痢,胃腸障害,胃痛,腹部違和感,心悸亢進,顔面潮紅,熱感,便の黒色調,全身違和感.連用で色素沈着.
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〔作用機序〕
組織呼吸改善作用,膜安定化作用に基づく抗炎症作用,ATPやたん白質の合成促進などの代謝促進作用.
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mw:606.63
mp:220〜230℃(ジメチルエステル体)
★暗赤色粉末.
★光に不安定.
★溶けやすい.
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protoporphyrin disodium
プロルモン
Prolmon
(東京田辺)
―錠:20mg
腸溶性糖衣錠 |
プロパゲルマニウム |
〔効〕HBe抗原陽性B型慢性肝炎におけるウイルスマーカーの改善.
〔用〕(内)1日30mgを毎食後3回に分服.
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〔禁〕黄疸,本剤過敏歴.肝硬変,肝硬変の疑い.
〔慎〕薬剤過敏歴,重篤な腎障害,黄疸歴,高齢者.
〔副〕〔重大な副作用〕B型慢性肝炎の急性増悪.
〔その他の副作用〕過敏症(発疹,そう痒),食欲不振,腹痛,嘔気・嘔吐,下痢,腹部膨満感,胸やけ,口内炎,眩暈,頭痛,振戦,手足のしびれ,肝機能障害の増悪,黄疸,脱毛,倦怠感,血圧上昇,発熱,関節痛,胸痛,浮腫,好酸球増多,白血球減少.
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〔作用機序〕
IL-1,IL-2,IFN-γの産生促進による免疫能増強でウイルス感染細胞の排除や抗ウイルス作用を示す.
〔体内動態〕
Cmax:0.27μg/mL(30mg, p.o.),
Tmax:3.2hr
t1/2:2.5hr
Vd:0.396L/kg
CL:0.114L/hr/kg(30mgp.o.)
血漿たん白結合率:0.6〜6.9%
尿中排泄率:21〜42%(24hr)
主な代謝物:代謝されない.
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mp:230℃(分解)
★白色結晶性粉末.無臭,わずかな酸味.
pKa:4.16
★溶けにくい.
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propagermanium
セロシオン
Serocion
(三和化学-山之内)
―カプセル:10mg |
ラクツロース |
〔効〕〔用〕(内)(1)高アンモニア血症に伴う精神神経障害手指振戦,脳波異常の改善:1日30〜60mL(ゼリーは3〜6個)を3回に分服.
(2)産婦人科術後の排ガス・排便の促進:1日30〜60mL(ゼリーは3〜6個)を朝夕2回に分服. (3)小児における便秘の改善:1日0.5〜2mL/mgを3回に分服.
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〔禁〕ガラクトース血症.
〔慎〕糖尿病.
〔相〕併用注意:α-グルコシダーゼ阻害薬で副作用増強.
〔副〕下痢,悪心,嘔吐,腹痛,腹鳴,鼓腸,食欲不振.水様便→中止.
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〔作用機序〕
下部消化管で細菌による分解を受け,有機酸を生成しpHを低下.このため乳酸菌産生の促進,緩下作用,アンモニア産生の減少と腸管吸収の抑制が生ずる.
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mw:342.30
★淡黄色〜黄色の澄明な濃稠液,においはなく,わずかに甘い.
[α]20D:-24.1°(アンモニア)
★混和する.
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lactulose
モニラック
Monilac
(中外)
―シロップ:1mL中650mg
カロリールゼリー
Caloryl jelly
(佐藤)
―ゼリー:1個中6.5g |
肝臓加水分解物 |
〔効〕慢性肝疾患における肝機能の改善.
〔用〕(内)1日3〜6錠を3回に分服.
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〔禁〕本剤過敏歴,肝性昏睡.
〔副〕悪心,胃部膨満感,発疹,蕁麻疹→中止.頭痛,顔面熱感.
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〔作用機序〕
組織呼吸促進作用,肝たん白合成能の亢進に基づく肝臓機能の改善.
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★幼牛の新鮮な肝臓から抽出,加水分解された黄褐色の粉末.肝臓物特有のにおいと味.吸湿性.
★溶けやすい.
肝臓抽出成分と塩酸システイン,コリンビタルタレート,イノシトール,シアノコバラミン(VB12)の配合剤. |
liver hydrolysate
プロヘパールS
Proheparum S
(科研)
―錠:肝加水分解物70mg
塩酸システイン20mg
コリンビタルタレート100mg
イノシトール25mg
シアノコバラミン1.5μg |
配合剤
アデラビン9号
Adelavin 9
(三和化学)
―注:1mL中フラビンアデニンジヌクレオチド10mg
肝臓抽出エキス15μL
pH:5.5〜6.5
浸透圧比(生理食塩液対比):約1
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〔効〕(1)慢性肝疾患における肝機能改善. (2)ビタミンB2欠乏又は代謝障害が関与する次の疾患:湿疹・皮膚炎群,口唇炎・口角炎・口内炎,びまん性表層角膜炎.
(3)ビタミンB2の需要が増大し,食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患,妊産婦,授乳婦など).
〔用〕(注)1日1〜2mLを1〜2回に分けて静注・筋注・皮下注.
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〔禁〕本剤過敏歴.
〔副〕〔重大な副作用〕ショック→中止. 〔その他の副作用〕発疹,そう痒→中止.悪心,嘔吐,胸部不快感.
〔貯〕遮光.
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フラビンアデニンジヌクレオチド
ナトリウム
mw:829.52
★だいだい黄色〜淡黄褐色の粉末.においはないかわずかに特異なにおいがある.
★溶けやすい.
注射剤:黄色澄明液,特異臭.
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配合剤
グリチロン錠
Glycyron
(ミノファーゲン)
―錠:グリチルリチン25mg
DL-メチオニン25mg
アミノ酢酸25mg
沈降炭酸カルシウム50mg |
〔効〕湿疹,皮膚炎,小児ストロフルス,円形脱毛症,口内炎,慢性肝疾患における肝機能異常の改善.
〔用〕1日6〜9錠を食後3回に分服小児は成人の半量.
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〔禁〕末期肝硬変症,アルドステロン症,ミオパチー,低カリウム血症.
〔慎〕高齢者.
〔相〕併用注意:ループ利尿薬,チアジド系利尿薬で血清Kの低下.甘草を有する製剤との併用は偽アルドステロン症が現れやすい.
〔副〕〔重大な副作用〕偽アルドステロン症(低K血症,血圧上昇,Na・体液貯留,浮腫,体重増加など)→中止.横紋筋融解症(脱力感,筋力低下,筋肉痛,四肢けいれん,麻痺)→中止.
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〔作用機序〕
グリチルリチン:抗アレルギー作用,抗炎症作用,解毒作用,抗ウイルス作用を有する.
メチオニン:重要な含硫アミノ酸で,メチル転移;SH基の供与に関与し,抗脂肝作用を有する.
アミノ酢酸(グリシン):両性化合物で,胃酸に対し緩衝作用を現す.炭酸カルシウムとの併用により過酸性の胃液を中和し,次いでグリシンの緩衝的制酸作用により正常な胃液の酸度を長く維持する.
システイン:SH供与体としての役割を果たし,SH酵素の賦活剤として作用する.抗アレルギー作用,解毒作用がある.
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グリチルリチン
mw:822.92
mp:214〜218℃
★白色の結晶,又は結晶性粉末,強い甘味がある.
[α]20D:+60〜+66°(アンモニア)
★吸湿性.
製剤はモノアンモニウム塩を使用.
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強力ネオミノファーゲンC
Stronger Neo-Minophagen C
(ミノファーゲン製薬)
―注:2mL中グリチルリチン4mg
アミノ酢酸40mg
システイン2mg
pH:6.0〜7.4
浸透圧比(生理食塩液対比):2 |
〔効〕小児ストロフルス,湿疹・皮膚炎,蕁麻疹,口内炎,フリクテン,薬疹・中毒症,慢性肝疾患における肝機能異常の改善.
〔用〕(注)1日1回5〜20mLを静注.慢性肝疾患は1日1回40〜60mLを静注又は点滴.1日100mLまで.
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〔禁〕本剤過敏症,アルドステロン症,ミオパチー,低カリウム血症.
〔慎〕高齢者.
〔相〕併用注意:ループ利尿薬,チアジド系利尿剤との併用で血清Kの低下.甘草を有する製剤との併用は偽アルドステロン症が現れやすくなる.
〔副〕〔重大な副作用〕ショック→中止.長期連用で偽アルドステロン症.
〔その他の副作用〕過敏症,グリチルリチン酸又は甘草を含有する製剤の投与により横紋筋融解症.
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