〔効〕白癬：体部白癬(斑状小水疱性白癬,頑癬),股部白癬(頑癬),足部白癬(汗疱状白癬).カンジダ症：指間びらん症,間擦疹,乳児寄生菌性紅斑,爪囲炎,外陰部カンジダ症,皮膚カンジダ症.癜風.

〔用〕(外)1日2〜3回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕局所の刺激感,発赤,そう痒,接触性皮膚炎,疼痛→中止.

〔妊〕治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にだけ使用.

〔作用機序〕
真菌類細胞膜の透過性を迅速かつ強力に変化させ,抗真菌作用を現す,この結果,細胞呼吸が抑制され,細胞膜構造が破壊される.

〔体内動態〕
尿中排泄率：0.03〜0.18%(100mgクリーム, 3day)
主な代謝物：大部分未変化体で排泄

mw：479.15
mp：約178℃(分解)
★白色〜微黄白色の結晶性の粉末で,においはなく,味はわずかに苦い.
★極めて溶けにくい.

isoconazole nitrate
アデスタン
Adestan
(シェーリング)
―クリーム：1%, 乳剤性(o/W)基剤

〔効〕白癬：足部・手部白癬(汗疱状白癬),体部白癬(斑状小水疱性白癬,頑癬),股部白癬(頑癬).カンジダ症：指間びらん症,間擦疹,乳児寄生菌性紅斑,爪囲炎,外陰炎(ただし,外陰炎はクリームのみ適用).癜風.

〔用〕(外)1日2〜3回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕発赤・紅斑,刺激感,そう痒,灼熱感,疼痛→中止.

〔作用機序〕
イミダゾール系抗真菌薬.細胞膜が一次作用点で物質輸送と透過性障壁を阻害し,その結果,高分子物質合成阻害と呼吸阻害を二次的に誘起し,更に高濃度ではRNA分解を促進し,細胞発育阻止又は細胞死に至らせる.

mw：444.70
mp：163〜165℃(分解)
★白色結晶性の粉末で,においはなく,わずかに苦味がある.
★極めて溶けにくい.

econazole nitrate
パラベール
Palavale
(大塚製薬工場,大塚)
―クリーム：1%, 乳剤性(o/w)基剤
―液：1%, アルコール溶液

〔効〕白癬：足部・手部白癬(汗疱状白癬),体部白癬(斑状小水疱性白癬,頑癬),股部白癬(頑癬).カンジダ症：指間びらん症,間擦疹,乳児寄生菌性紅斑,爪囲炎.癜風.

〔用〕(外)1日2〜3回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕過敏症→中止.

〔作用機序〕
イミダゾール系抗真菌薬,細胞膜障害,エルゴステロールの合成阻害により抗真菌作用を発揮.

〔体内動態〕
尿中排泄率：7.8%(5g, 26hr)
主な代謝物：ベンジル基の水酸化体

mw：347.24
mp：148〜153℃
★白色〜微黄白色の結晶又は結晶性粉末.においはないか又はわずかに特異なにおい.
★極めて溶けやすい.

croconazole HCl
ピルツシン
Pilzcin
(シオノギ)
―クリーム：1%, 乳剤性(o/w)基剤
―ゲル：1%, イソプロパノール含有ゲル基剤

〔効〕白癬：足部白癬(汗疱状白癬,趾間白癬),頑癬,斑状小水疱性白癬. カンジダ症：指間びらん症,間擦疹,乳児寄生菌性紅斑,皮膚カンジダ症,爪囲炎.癜風.

〔用〕(外)1日2〜3回塗布

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕局所の刺激感,皮膚炎,熱感,発赤・紅斑,びらん,丘疹などの過敏症→中止.

〔作用機序〕
真菌細胞の細胞膜,核膜などの膜系構造のリン脂質分子に特異的親和性で結合,その透過性を変化させ抗真菌作用.

〔体内動態〕
尿中排泄率：0.5%以下(液5day), 0.05%(クリーム4day無傷)

mw：344.84
mp：142〜145℃
★白色の結晶性粉末.におい及び味はない.
★ほとんど溶けない.

clotrimazole
エンペシド
Empecid
(バイエル)
―クリーム：1%, 乳剤性(o/w)基剤
―液：1%

〔効〕下記の皮膚真菌症. (1)白癬：足白癬,体部白癬,股部白癬. (2)皮膚カンジダ症：指間びらん症,間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む). (3)癜風.

〔用〕1日1回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕局所の接触皮膚炎,紅斑,発赤,そう痒感→中止.

〔妊〕安全性未確立.治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用.

〔作用機序〕
真菌細胞内のスクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害し,スクアレンの蓄積およびエルゴステロール含量の低下をもたらすことにより抗真菌作用を示すと考えられる.

〔体内動態〕
Cmax：5.11ng/mL,
Tmax：30min(28day連続投与)
血漿たん白結合率：96〜99%
尿中排泄率：3.64%(0.04mg/kg, 11day)
主な代謝物：カルボン酸体, N-脱メチルカルボン酸体

mw：327.90
mp：203〜208℃(分解)
★白色〜微黄白色の結晶性粉末で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがある.
pKa：7.13±0.06(電位差滴定法)
★溶けにくい.
油水分配係数：74.3(n-オクタノール/pH1.2)

terbinafine HCl
ラミシール
Lamisil
(東興-ノバルティス)
―クリーム：1g中10mg
―液：1%

★ノバルティスファーマ社によるラミシールの情報提供サイト

〔効〕白癬：足白癬,股部白癬,体部白癬.カンジダ症：間擦疹,乳児寄生菌性紅斑,指間びらん症,爪囲炎.癜風.

〔用〕(外)1日2〜3回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕過敏症→中止.

〔妊〕治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合だけ使用.

〔作用機序〕
真菌の細胞膜の透過性に関与する物性の変化及び細胞膜結合性ATPase活性の変化を促すことによって膜透過性機能及び輸送機能を阻害し,真菌を死滅させる.

mw：460.76
mp：130℃(分解)
★白色の結晶又は結晶性粉末.においはないか,又はわずかに特異なにおいがある.
pKa：5.8
★ほとんど溶けない.
★ラセミ体.

〔効〕汗疱状白癬,頑癬,小水疱性斑状白癬,癜風.

〔用〕(外)1日2〜3回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕過敏症→中止.

〔作用機序〕
抗白癬薬.真菌細胞膜の構造と機能を維持するのに不可欠なエルゴステロールの生合成阻害.作用は殺菌的.

mw：307.42
mp：111〜114℃(乾燥後)
★白色の粉末で,においはない.
★ほとんど溶けない.

〔効〕白癬：足部・体部・股部白癬. カンジダ症：指間びらん症,間擦疹,皮膚カンジダ症.癜風.

〔用〕(外)1日1回患部に塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕局所の刺激感,皮膚炎,発赤・紅斑,亀裂.鱗屑,そう痒,びらん,乾燥.

〔作用機序〕
真菌細胞に対し二元的な作用機序を持つ.低濃度域では細胞膜の必須構成脂質成分であるエルゴステロールの合成阻害,高濃度域では更に細胞膜のリン脂質と特異的結合により膜の物性を変化させる.いずれも最終的に細胞膜の構造・機能を阻害し,抗真菌作用が発現.

〔体内動態〕
Cmax：1.6ng/mL,
Tmax：10hr(1%液1.56mL)
Cmax：1.0ng/mL,
Tmax：9.5hr(1%クリーム1.52g)
尿中排泄率：0.4%(1%液1.56mL, 5day)

mw：310.40
mp：147〜150℃
★白色〜微黄色の粉末.におい及び味はない.
pKa：5.6
★ほとんど溶けない.

〔効〕白癬：足白癬,体部白癬,股部白癬. 皮膚カンジダ症：指間びらん症,間擦疹,癜風.

〔用〕(外)1日1回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕局所の刺激感,皮膚炎,発赤・紅斑,そう痒感,湿潤,落屑の増加,白癬疹等→中止.

〔作用機序〕
イミダゾール系抗真菌薬.低濃度領域では真菌細胞膜構成成分のエルゴステロールの合成阻害,高濃度領域では直接的細胞膜障害作用を示し,これらにより抗菌作用を発現すると考えられる.

〔効〕〔用〕白癬：足白癬,体部白癬,股部白癬. 皮膚カンジダ症：指間びらん症,間擦疹. . . 癜風：1日1回塗布. 脂漏性皮膚炎：1日2回塗布..

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕接触皮膚炎,発赤,刺激感,紅斑,びらん,そう痒.

〔効〕下記の皮膚真菌症. (1)白癬：足部白癬,股部白癬,体部白癬. (2)癜風.

〔用〕1日1回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕局所の発赤・紅斑,そう痒,接触皮膚炎,亀裂,刺激感,水疱,びらん,落屑.

〔貯〕遮光した気密容器.

〔作用機序〕
細胞膜のスクアレンエポキシダーゼに作用して,エルゴステロール合成を阻害することが示唆されている.

〔体内動態〕
Cmax：4ng/mL,
Tmax：30min(50mgクリーム)
t1/2：23.4hr(クリーム)

mw：353.93
mp：210〜217℃(分解)
★白色の結晶又は結晶性の粉末で,においはないか,又はわずかに特異なにおいがあり,味はわずかに苦い.
pKa：8.7
★溶けにくい.
油水分配係数：
　118(オクタノール/水 pH3)
　1063(n-オクタノール/pH5)

〔効〕白癬：体部白癬(斑状小水疱性白癬,頑癬),股部白癬(頑癬),足部白癬(汗疱状白癬). カンジダ症：指間びらん症,間擦疹,乳児寄生菌性紅斑,爪囲炎,外陰カンジダ症,皮膚カンジダ症.癜風.

〔用〕(外)1日2〜3回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔副〕局所の発赤・紅斑,そう痒,接触性皮膚炎,びらん,刺激感,小水疱,乾燥・亀裂,丘疹,落屑,腫脹などの過敏症.

〔妊〕治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合だけ使用.

〔作用機序〕
低濃度では主として膜系(細胞膜並びに細胞壁)に作用し,細胞の膜透過性を変化させることによる.高濃度では細胞のえ死的変化をもたらし,殺菌的に作用.

mw：479.15
mp：約180℃
★白色の結晶性の粉末.
★極めて溶けにくい.

miconazole nitrate
フロリードD
Florid D
(持田)
―クリーム：1%, 乳剤性(o/w)基剤
―液：1%

〔効〕下記の皮膚真菌症の治療.
白癬：足白癬,体部白癬,股部白癬. カンジダ症：間擦疹,指間びらん症,爪囲炎.瘢風.

〔用〕1日1回塗布.

〔禁〕本剤過敏歴.

〔慎〕局所の刺激感,皮膚炎,発赤,そう痒感,亀裂,乾燥,小水疱,腫脹.

〔妊〕安全性未確立,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用.

〔貯〕遮光した気密容器.

〔備〕著しいびらん面には使用しない(クリーム・液・軟膏). 亀裂,びらん面には注意して使用(液). 眼科用として角膜・結膜には使用しない(クリーム・液・軟膏). 合成樹脂を軟化したり塗料を溶かすことがある. 直射日光を避け,冷所にて密栓保管,火気を避けて保存(液). 高温の場合に放置すると,チューブの折り返し部分から油状の液漏れが生じることがある(軟膏).

〔服薬指導〕クリーム：高温において内容物漏出の可能性→高温での保管を避ける.
液：基剤に有機溶媒を使用→火気を避け冷所にて密栓保管.
軟膏：高温(40℃以上)にて成分の均一性が損なわれる→高温での保管を避ける.

〔作用機序〕
真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成阻害作用により抗真菌作用を示す.

〔体内動態〕
クリーム5gを1日8時間,7日間塗布後.
Cmax：0.31〜0.76ng/mL,
Tmax：8hr(クリーム5g, 8時間毎, 7日間塗布)
経皮吸収率：10%(経皮)
血漿たん白結合率：99.7%
尿中排泄率：未変化体は検出されない.
主な代謝物：開環体.

mw：319.84
mp：141〜146℃
★微黄色の結晶または結晶性の粉末でにおいおよび味はない.
pKa：4.62
★ほとんど溶けない.
油水分配係数：
　1.29(n-オクタノール/pH2.33)
　3.88(n-オクタノール/pH7.16)