ジメルカプロール |
〔効〕ヒ素,水銀,鉛,銅,金,ビスマス,クロム,アンチモンの中毒.
〔用〕(注)1回2.5mg/kgを初日6時間4回筋注,第2日目以降6日間は毎日同量を1回筋注.
重症緊急時:1回2.5mg/kgを最初の2日間は4時間ごと1日6回,第3日目1日4回,以降10日間又は回復するまで毎日2回筋注.
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〔禁〕鉄,カドミウム,セレンの中毒(毒性増強). 〔原則禁忌〕肝・腎障害.
〔副〕過敏症→中止,大量投与:悪心・嘔吐,頭痛,口唇・口腔・咽頭・眼の灼熱感,流涙・流涎,筋痛,胸部圧迫感,振戦,血圧上昇,昏睡・けいれん→エピネフリン,エフェドリン,抗ヒスタミン剤の投与で緩和.
〔高齢〕腎機能が低下していることが多いため慎重投与.
〔妊〕〔乳〕有益時のみ投与.
〔小児〕一過性の発熱.
〔貯〕冷所(保存中に結晶が析出した場合,室温で溶解して使用).
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〔作用機序〕
本剤の分子内にある2個のSH基が重金属とキレートを形成し,生体内の必須SH基を重金属の攻撃から保護する.本剤の重金属キレートは酸性尿中では不安定なため,注意を要する.SH酵素の再活性化よりも阻害を未然に防止する作用の方が強い.
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mw:124.23
★無色〜微黄色の液で,メルカプタン様の不快なにおいがある.
★やや溶けにくい.
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メシル酸デフェロキサミン |
〔効〕原発性・続発性ヘモクロマトーシスにおける尿中への鉄排泄増加.
〔用〕(注)1日1gを1〜2回に筋注.維持量1日500mg.
重症:1回1gを15mg/kg/時で点滴静注.1日80mg/kgまで.
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〔禁〕無尿,重篤な腎障害(透析中の患者を除く),本剤過敏歴,妊婦.
〔慎〕腎機能障害(透析中を含む),重篤な肝障害,糖尿病.低血清フェリチン値.
〔相〕ビタミンC欠乏を伴う鉄過剰症ではビタミンC併用で鉄の排泄が促進される.ただし1日0.5g以上のビタミンC(経口)併用で心機能低下,プロクロルペラジンとの併用により,一過性の意識障害.
〔副〕ショック,アナフィラキシー,血管浮腫→中止.水晶体混濁→中止.夜盲,色覚異常,視野欠損,霧視,視力低下,網膜色素変性→中止.難聴等聴力障害→中止.Yersinia感染症,ムコール感染症→中止.紅斑.蕁麻疹・発疹→中止.静注時低血圧・ショック・頻脈,血尿,乏尿,黄疸,GOT・GPTの上昇,骨痛,血清Ca低下,副甲状腺機能亢進症悪化,眩暈,けいれん,血小板減少,嘔気,下痢.
〔妊〕動物で胎仔の骨格異常→投与しない.
〔貯〕冷所.
〔備〕尿がferrioxamin B(赤褐色)により着色.眩暈,視聴覚障害→車の運転などに従事させない.
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〔作用機序〕
3価の鉄イオンと結合し,EDTAより安定な水溶性のフェリオキサミンBを形成する.これにより肝実質細胞内でフェリチン及びヘモジデリンから,肝細胞外では網膜細胞から鉄を除去する.トランスフェリン,ポルフィリン,ミオグロビンの鉄は除去しない.
〔体内動態〕
Tmax:30min(i.m.)
血漿たん白結合率:10%以下
尿中排泄率:
健常人 33.1%(12hr)
患者 60.5%(12hr)
主な代謝物:アミノ基がカルボキシル基に置換されたもの
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mw:656.80
mp:142〜149℃
★白色〜微黄色の結晶性の粉末.におい及び味はない.
pKa:8.30, 9.05, 9.80
★溶けやすい.
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チオ硫酸ナトリウム |
〔効〕シアン・シアン化合物,ヒ素剤による中毒.
〔用〕(注)1日1〜2gを静注.シアン・シアン化合物中毒には1回12.5〜25gを静注.注射速度はできるだけ遅くする.
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〔副〕過敏症→中止.
〔備〕7〜10回投与→適宜休薬(連用で効果が低下).
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〔作用機序〕
体内に沈着したヒ素と結合し,これを不溶性の塩として沈殿させその排泄を容易にする.また,シアン化合物をミトコンドリアのロダナーゼ(チオ硫酸サルファートトランスフェラーゼ)が毒性の低いチオシアン酸塩に変換するのを,自らが基質となって促進する.
〔体内動態〕
t1/2:39min
尿中排泄率:70〜80%
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Na2S2O3・5H2O
mw:248.19
mp:170〜176℃(分解)
★無色の結晶又は結晶性の粉末.においはない.
★極めて溶けやすい.
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エデト酸カルシウム二ナトリウム |
〔効〕鉛中毒.
〔用〕(内)1日1〜2g食後30分以上を2〜3回に分服,5〜7日服用し3〜7日休薬(1クール).
(注)1回1gを5%ブドウ糖液・生理食塩液250〜500mLで希釈し約1時間で点滴静注.最初の5日間1日2回,必要があれば2日間休薬後更に5日間点滴静注.小児0.5g/15kg以下,1日2回点滴静注.ただし,1g/15kg/日以下.
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〔慎〕腎機能障害.
〔副〕長期投与により尿細管障害. (内)悪心,軟便,食欲不振.
(注)一過性たん白尿,胸部圧迫感,頭痛,皮疹,眠気.
〔備〕(内)腸溶性であるので,かまずに服用.
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〔作用機序〕
本剤は分子内にカルシウムイオンを1個キレートしている.鉛イオンはこのカルシウムイオンと置換する形でキレートされ,生体から除去される.主に骨中の鉛がこのキレート化を受けて除かれる.本剤は腎臓の近位尿細管に対し障害を与えるので注意が必要である.
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mw:374.28
★白色の粉末又は粒で,においなく,わずかに塩味がある.
★溶けやすい.
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