〔共通事項〕

ヨード含有水性造影剤

〔禁〕ヨード・ヨード造影剤過敏症,重篤な甲状腺疾患. (MRI用)一般状態が極度に悪い状態,肝障害,腎障害. 〔原則禁忌〕一般症状が極度に悪い状態,重篤な心不全・肝障害・腎障害,マクログロブリン血症,急性膵炎,多発性骨髄腫,テタニー,褐色細胞腫・その疑い.

〔慎〕本人・血族がアレルギー体質,薬物過敏歴,脱水症状,高血圧,動脈硬化,糖尿病,甲状腺疾患,小児,高齢者.

〔相〕ビグアナイド系糖尿病薬で乳酸アシドーシス(アミドトリゾ酸,イオキサグル酸,イオタラム酸,イオトロクス酸,メグルミン,イオトロラン,イオパミドール,イオヘキソール).

〔副〕〔重大な副作用〕ショック,アナフィラキシー様症状,腎不全,けいれん発作,肺水腫,血小板減少. (海外)一過性麻痺,脳血管造影で失神・意識消失.

〔妊〕安全性未確立→有益時のみ投与.

〔小児〕安全性未確立.

〔検〕造影剤投与後1箇月間は放射性ヨードによる検査をしない.

(注)水性
(58%)
pH：6.0〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約6
(60%)
pH：6.0〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約6
(76%)
pH：6.0〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約9

尿路(静脈性,逆行性)
血管,心臓,大動脈
唾液腺
胆道(経皮経肝)
膵管
関節
CT
経脾門脈

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むイオン性造影剤.ウロビゾンの造影率：腎孟尿路94.1%,血管98.5%,経皮経肝的胆道79.6%.

〔体内動態〕
尿中排泄率：
アンギオグラフィン 100%(24hr)
ウログラフイン 50%(i.v. 1.4hr)
ウロビゾン 30〜57%(i.v. 1hr)

mw：613.92
mp：約291〜308℃(分解)
★白色の結晶性の粉末で,においはない.
★極めて溶けにくい.

amidotrizoic acid
アンギオグラフィン
Angiografin
(シェーリング)
ウログラフィン
Urografin
(シェーリング)
ウロビゾン
Urovison
(シェーリング)

ガストログラフィン
Gastrografin
(シェーリング)

(内)(外)水性(76%)
pH：6〜7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約9

消化管

(注)水性(53%)
pH：6.0〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約2
イオン性
(一酸二量体)

脳
血管,心臓,胸部臓器血管,腹部臓器血管,四肢血管,静脈性血管
尿路(静脈性)

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むイオン性造影剤.造影に必要なヨウ素濃度での浸透圧が従来のイオン性造影剤に比べ低く,より生理的浸透圧に近い.有効率99.9%

〔体内動態〕
t1/2：約2hr
血漿たん白結合率：0〜11.3%
尿中排泄率：92%(24hr)

mw：1268.89
mp：300℃以上で日局「融点測定法」では測定困難.
★白色の結晶性の粉末で,においはない.
pKa：3.24
★極めて溶けにくい.

ioxaglic acid
ヘキサブリックス320
Hexabrix
(栄研化学,田辺)

◆使用上の注意改定指示
H14/01/09

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含む造影剤.イオパミドール等と同様に,トリヨードベンゼン環を骨格とする化学構造を有する.

〔体内動態〕
t1/2：4.5hr(250mL/kg i.v.)
Vd：240mL/kg(250mL/kg i.v.)
CL：89mL/hr/kg (250mL/kg i.v.)
血漿たん白結合率：2%
尿中排泄率：90%(24hr)

mw：791.12
mp：190〜204℃
★白色の結晶又は結晶性の粉末で,においはない.
★やや溶けやすい.

ioxilan
イマジニール
Imagenil
(日本たばこ,協和醗酵,吉冨)
注：20mL, 50mL, 100mL
添加物：エデト酸カルシウム二ナトリウム

◆使用上の注意改定指示
H14/01/09

(注)水性
(80%)
pH：6.5〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約11
(66.8%)
pH：6.5〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約8
(30%)
pH：6.5〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約3

尿路(静脈性,逆行性)
脳血管,大動脈,大静脈
胆道(経皮経肝)
膵管
精嚢腺
関節
CT

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むイオン性造影剤.ヨード含有量が高い(480mg/mL)ので,鮮明なコントラストが得られる. 造影効果：有効以上90.1%,やや有効以上93.0%.

〔体内動態〕
血漿たん白結合率：ほとんど結合しない.

mw：613.92
★白色の粉末で,においはない.
★極めて溶けにくい.

(注)水性
180(37.9%)
pH：6.4〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約2
DIC50(10.55%)
pH：6.4〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約1

胆嚢・胆管

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むイオン性造影剤.速やかかつ高濃度に胆汁中へ排泄.
ビリスコピン180の造影率：胆嚢85.9%,総胆管93.4%,総肝管93.0%,肝内胆管85.2%.

〔体内動態〕
t1/2：1.4〜1.8hr(i.v.)
血漿たん白結合率：非線形性
90.8%(0.1mgI/mL), 69.7%(1.2mgI/mL)
尿中排泄率：10.6%(24hr)

イオトロクス酸

mw：1215.82
★白色の結晶性の粉末.
★ほとんど溶けない.

(注)水性
pH：6.5〜8.0
浸透圧比(生理食塩液対比)：約1
非イオン性

脳室・脳槽・脊髄
関節
子宮卵管

〔相〕フェノチアジン系抗精神病薬との併用により痙攀域値を低下させる.

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むダイマー型非イオン性水溶性化合物で,300mgI/mL濃度以下において脳脊髄液と等張であり,脳ブドウ糖代謝を抑制せず,中枢神経への影響が少ない.

〔体内動態〕
Tmax：約3hr(32μgI)
t1/2：1.8hr
血漿たん白結合率：約2%
尿中排泄率：83.8%(24hr)

mw：1626.24
mp：260℃付近から徐々に着色が起こり,274℃付近でヨウ素ガスを発生し,融解は見られず275℃付近で黒色となり炭化し分解点となった.
★白色の粉末又は塊で,においはなく,味は甘い.
pKa：約13.5
★極めて溶けやすい.
★ラセミ体.

(内)カプセル500mg

胆嚢・胆管

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含む.

〔体内動態〕
尿中排泄率：約35%
主な代謝物：グルクロン酸抱合体

mw：570.93
mp：152〜158℃(分解)
★淡黄白色の結晶性の粉末で,わずかに特異なにおいがある.
★ほとんど溶けない.

iopanoic acid
テレパーク
Telepaque
(日本商事)

(注)水性
150(30.62%)
pH：6.5〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約1
300(61.24%)
pH：6.5〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約3
370(75.52%)
pH：6.5〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約4
非イオン性

尿路(静脈性・逆行性)
動脈性血管,脳血管,血管心臓,大動脈,四肢血管,静脈性血管
CT

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含む.非イオン水溶性でかつ造影に必要なヨード濃度での浸透圧濃度が従来のイオン性造影剤に比し低く,投与部位に移行して,各部位の血管並びに腎・尿路の細部微細構造の明確な造影をもたらす.中枢並びに末梢神経系に影響は見られない.

〔体内動態〕
Vd：6.94L/kg
血漿たん白結合率：認められない.
尿中排泄率：約60%(2hr), 100%(24hr)

mw：777.09
mp：300℃以上で日局記載の融点測定装置では測定困難.
★白色の結晶性の粉末で,においはない.
[α]25D：-2.01〜-2.27°(水)
pKa：約10.7
★極めて溶けやすい.

iopamidol
イオパミロン150, 300, 370
Iopamiron
(シェーリング)

◆使用上の注意改定指示
H14/01/09

〔作用機序〕
ヨウ素原子のX線吸収が人体の組織よりはるかに大きいことによりX線写真上にコントラストを生じさせる.

〔体内動態〕
投与量(18.5g I)のとき
t1/2：2.6±2.3hr(α相)
　88.3±32.0hr(β相)
Vd：12.8±5.4L
CL：101.1±12.0mL/min
投与量(37.0g I)のとき
t1/2：5.5±4.4hr(α相)
　81.5±12.4hr(β相)
Vd：11.7±1.8L
CL：97.8±14.6mL/min
血漿たん白結合率：ほとんど結合しない.
尿中排泄率：約97%(i.v., 12hr)
主な代謝物：ほとんど代謝しない.

mw：791.12
mp：231〜235℃(分解)
★白色結晶性粉末で,においはない.
★溶けやすい.

iopromide
プロスコープ
Proscope
(田辺)

◆使用上の注意改定指示
H14/01/09

(注)水性
140(30.2%)
pH：6.8〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約1
180(38.8%)
pH：6.8〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約1
240(51.8%)
pH：6.8〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約2
300(64.7%)
pH：6.8〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約2
350(75.5%)
pH：6.8〜7.7
浸透圧比(生理食塩液対比)：約3
非イオン性

尿路(静脈性)
動脈性血管,四肢血管,脳血管,静脈性血管,大動脈,血管心臓
脳槽・脊髄
CT

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含む.非イオン性低浸透圧で,細部にわたる精密な画像が得られ,診断能が高まる.第三世代造影剤.薬理学的に関連ある化合物としてイオパミドール,イオトラン,イオキサグル酸など.

〔体内動態〕
Cmax：4.7μg/mL,
Tmax：1〜5min(250mgI/kg i.v.)
Cmax：32.2〜108μg/mL,
Tmax：0.5〜6hr(240mgI/kg髄腔内)
血漿たん白結合率：1.3〜1.5%
尿中排泄率：52.9%(250mgI/kg i.v., 1hr), 21.2〜96.7%(髄腔内24hr)

mw：821.14
mp：180〜190℃
★白色の粉末.においはない.
★極めて溶けやすい.

iohexol
オムニパーク140, 180, 240, 300, 350
Omnipaque
(第一)

◆使用上の注意改定指示
H14/01/09

動脈性血管,静脈性血管,心臓血管,胸部血管,腹部血管,四肢血管
CT
尿路(静脈性)

〔作用機序〕
ベンゼン環に3個配位されているヨード原子のX線吸収が高いために造影剤として働く.

〔体内動態〕
t1/2：2.0hr(d.i.)
Vd：0.11L/kg
血漿たん白結合率：結合を示さない.
尿中排泄率：90〜100%(d.i., 24hr)

mw：777.09
mp：約290℃(分解)
★白色の結晶性の粉末で,においはない.
★極めて溶けやすい.
油水分配係数：0.003(n-オクタノール/水)

iomeprol
イオメロン
Iomeron
(エーザイ)

◆使用上の注意改定指示
H13/02/14
H14/01/09

(内)カプセル500mg

胆嚢・胆管

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含む.3ヨードの経口胆嚢・胆管造影剤.造影率：胆嚢89.2%,胆管32.2%.

〔体内動態〕
血漿たん白結合率：99.3〜100%
尿中排泄率：30〜60%(24hr)

mw：619.94
mp：303〜304℃
★白色〜淡黄白色の粉末で,においはなく,味はわずかに苦い.
★溶けやすい.

(注)水性
280(60.23%)
pH：6.5〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約5
370(76.93%)
pH：7.0〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約8
440(82.3%)
pH：7.0〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約10

尿路
血管
唾液腺

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むイオン性造影剤,粘稠度が低いので,注入が容易,また選択的な小血管の造影が容易.有効率：脳血管90.0%,腹部大動脈とその分枝96.3%,静脈性腎孟尿路78.8%.

〔体内動態〕
血漿たん白結合率：0.8〜2.4%
尿中排泄率：89.2〜97.6%(24hr)

mw：627.94
★白色の結晶性の粉末で,においはなく,味はわずかに苦い.
★極めて溶けにくい.

(注)水性
H(80%)
pH：6.5〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約6
D(32.45%)
pH：6.5〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約3
L(64.9%)
pH：6.5〜7.5
浸透圧比(生理食塩液対比)：約5

尿路(静脈性,逆行性)
血管
精嚢
CT

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むイオン性造影剤.

〔体内動態〕
血漿たん白結合率：10%以下

mw：627.94
mp：232〜240℃
★白色の結晶性の粉末で,においはない.
★溶けにくい.

(注)水性(40.3%)
pH：6.3〜7.4
浸透圧比(生理食塩液対比)：約2

胆嚢・胆管(静脈性)

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むイオン性造影剤.胆汁移行性に優れ,少量のヨウ素量(3.67g/20mL)で明瞭な胆道系X線像が得られる.造影効果の持続性に優れ,胆嚢60〜120分,胆管15〜120分で全胆道系を同時に把握できる.

〔体内動態〕
t1/2：55min(コレグラフィン製剤), 2.1hr(アジピオドン製剤)
血漿たん白結合率：約70%
尿中排泄率：
コレグラフィン 12.1%(i.v.),13.8%(d.i.)
アジピオドン 15.7%(i.v.),16,2%(d.i.)
主な代謝物：3[(2-hydroxyethoxy)-propioramide]-2,4,6-triiodobenzoic acid

mw：1287.93
mp：152〜158℃
★白色の粉末で,におい及び味はない.
pKa：2.4, 2.96
★極めて溶けにくい.

(注)油性

りんぱ管
子宮・卵管

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいヨウ素を含むので注入直後〜1時間後ではりんぱ管が鮮明に造影,24時間後にりんぱ節がよく造影される.

〔体内動態〕
主な代謝物：ヨウ化ナトリウム

(内)末(96%)

(外)注腸用(79%)


(内)末(99%)


(内)懸濁液(100%)


(内)懸濁液(145%)


(内)末(98%)

消化管

〔禁〕消化管穿孔,消化管急性出血,強い全身衰弱.

〔作用機序〕
X線吸収率の著しく大きいバリウムを含むので優れた造影力に加えて化学安定性,無毒性などにより繁用.

〔体内動態〕
経口投与又は注腸しても,全く吸収されず,消化管を通じてふん便と共に全て体外に排出.

BaSO4

mw：233.39
mp：約1,600℃
★白色の粉末で,におい及び味はない.
★ほとんど溶けない.