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医薬品・医療用具等安全性情報173号(H14/1/17)


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医薬品情報提供ホームページ(医薬品機構、厚生労働省)より

医薬品・医療用具等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.173

目   次

  1. ケトプロフェン外用剤と重篤な接触皮膚炎,光線過敏症について
  2. プロピオン酸クロベタゾール(ステロイドホルモン)を含有する「皮炎霜(ひえんそう)」について
  3. 盗難防止装置及び金属探知器の植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置(ペースメーカ等)への影響について
  4. 重要な副作用等に関する情報
    1 アルプロスタジルアルファデクス(20μg注射剤)
    2 塩酸ファドロゾール水和物
    3 ザルトプロフェン
    4 ビカルタミド
  5. 使用上の注意の改訂について(その132)
    酢酸フレカイニド(経口剤)他(23件)


 この医薬品・医療用具等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成14年(2002年)1月
厚生労働省医薬局


【情報の概要】

No. 医薬品等 対策 情報の概要
ケトプロフェン(外用剤) 使

 経皮鎮痛消炎剤であるケトプロフェン外用剤には,テープ剤,ゲル剤等の医療用医薬品のほか,クリーム剤等の一般用医薬品がある。
 本剤による接触皮膚炎及び光線過敏症については,これまでも使用上の注意等で注意を喚起してきたが,本剤の使用後数日を経過してから,長い場合には数ヵ月を経過してから接触皮膚炎,光線過敏症等の副作用を発現した症例やこれらの副作用による皮疹等の皮膚症状が全身に拡大し,重篤化した症例なども報告されるようになったことから,使用上の注意を改訂し,これらの副作用について一層の注意喚起を行うこととした。
ひえんそう
皮炎霜(プロピオン酸クロベタゾール含有)
   アトピー性皮膚炎等に使用される医薬品として,日本では薬事法上承認されていない医薬品「皮炎霜」に,既に承認を得ている医薬品とほぼ同濃度のプロピオン酸クロベタゾール(ステロイドホルモン)が含有されていることが判明した。
 本品を海外から個人輸入(医師個人輸入を含む。)し,使用する例が多く見受けられるため,その使用に際しては,十分な認識のもとに使用するか,又は患者によってはその使用を中止することが必要であることについて,注意喚起を行うこととした。
植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置(ペースメーカ等)    盗難防止装置及び金属探知器から発せられる電磁波の影響により,ペースメーカ等が誤作動を起こす可能性については,これまで,平成11年6月発行の「医薬品等安全性情報No.155」で注意を喚起してきたが,国内で,図書館内の盗難防止装置の影響により植込み型心臓ペースメーカの設定がリセットされたとの症例報告があったことを踏まえ,再度注意喚起を行うこととした。
アルプロスタジルアルファデクス(20μg注射剤)他(3件) 使

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報No.172)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介する。
酢酸フレカイニド(経口剤)他(23件)   使用上の注意の改訂について(その132)

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介



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1 ケトプロフェン外用剤と重篤な接触皮膚炎,光線過敏症について


成分名
該当販売名
成分名 該当販売名
ケトプロフェン (医療用医薬品)
エパテッククリーム,同ローション,同ゲル(日産化学工業)
ケトタックス(リンテック)
ケトックテープ(昭栄)
ケトラニール(三友薬品)
サイトステップ(日本化薬)
セクタークリーム,同ローション,同ゲル(久光製薬)
タッチロン(三和化学研究所)
タッチロンテープ(昭和ケミカ)
ニックールK(小林薬学工業)
パッペンK(佐藤製薬)
パテルテープ(大石膏盛堂)
フレストルテープ(東和薬品)
ペステックテープ(前田薬品工業)
ミルタックス(埼玉第一製薬)
メナミン軟膏(東興薬品工業)
モーラス,同テープ(久光製薬)
ライラテープ(太田製薬)
リフェロン(沢井製薬)
レイナノンテープ(シオノケミカル)
ロマールテープ(富士カプセル)
(一般用医薬品)
エパテックAクリーム,同Aローション,同Aゲル(日産化学工業)
ゼノールエクサムA,同F,同S(三笠製薬)
ビンダスSクリーム,同Sローション,同Sゲル(久光製薬)
レーブ・ジェル(東興薬品工業)
ロイプラスゲル(日産化学工業)
薬効分類等 経皮鎮痛消炎剤
効能効果 (医療用医薬品:テープ剤を除く)
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症,肩関節周囲炎,腱・腱鞘炎,腱周囲炎,上腕骨上顆炎(テニス肘等),筋肉痛,外傷後の腫脹・疼痛
(医療用医薬品:テープ剤)
下記疾患の慢性症状(血行障害,筋痙縮,筋拘縮)を伴う場合の鎮痛・消炎
腰痛症(筋・筋膜性腰痛症,変形性脊椎症,椎間板症,腰椎捻挫),変形性関節症,肩関節周囲炎,腱・腱鞘炎,腱周囲炎,上腕骨上顆炎(テニス肘等)
(一般用医薬品)
筋肉痛,関節痛,腰痛,肩こりに伴う肩の痛み,肘の痛み(テニス肘など),腱鞘炎(手・手首の痛み),打撲,捻挫


(1)経緯

 経皮鎮痛消炎剤であるケトプロフェンの外用剤については,医療用医薬品としてはゲル剤,貼付剤(テープ剤を除く。),ローション剤(液剤),クリーム剤(軟膏剤を含む。),テープ剤があり,それぞれ昭和61年7月,昭和63年3月,昭和63年9月,平成元年3月,平成7年6月に承認されており,また,一般用医薬品としてはクリーム剤,ゲル剤,ローション剤があり,平成6年12月に承認されている。
 本剤による接触皮膚炎及び光線過敏症に関しては,これまで添付文書の使用上の注意において,医療用医薬品については「その他の副作用」に記載し,また,一般用医薬品については「使用中又は使用後は,次のことに注意してください」に発疹・発赤,かぶれ,かゆみ,刺激感,水疱,腫脹,光線過敏症,色素沈着,皮膚乾燥等の症状があらわれた場合には使用を中止する旨を記載することなどにより注意を喚起してきた。
 しかし,その後,本剤の投与(貼付又は塗布)終了後又は中止後(使用後)数日を経過してから,長い場合には数ヵ月を経過してから接触皮膚炎,光線過敏症等の副作用を発現した症例やこれらの副作用による皮疹等の皮膚症状が全身に拡大し,重篤化した症例なども報告されるようになったことから,今回,これらの副作用について一層の注意喚起を行うこととした。

(2)症例の紹介

 平成6年4月以降これまでの約7年半(この間における推定使用患者数は,医療用医薬品で延べ約160百万人)で本剤と因果関係が否定できない重篤な接触皮膚炎,光線過敏症等の副作用が一般用医療品によるものも含めて56例報告されている。これらの副作用症例の一部を表1に紹介する。

表1 症例の概要
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
10代
筋肉痛,関節痛
(なし)
2枚
1日間
(テープ剤)
光線過敏症(全身性)
投与開始日 本剤を右肩甲部及び右肘頭に投与開始。
投与2日目
(投与終了日)
本剤投与終了。
 
終了18日後頃 屋外スポーツを行い,そのころより貼付した部位にそう痒性紅色皮疹が発現。その後,増悪。
終了26日後頃 日中,スポーツ後,貼付部以外にも紅色皮疹が発現。
終了27日後頃 右肩甲部,右肘頭に四角形の浮腫性紅斑。顔面,頸部,Vネック部,両側大腿に小豆大までの淡紅色紅斑多発。右前腕全体に腫脹。 遮光を指導し,ベタメタゾン・d-マレイン酸クロルフェニラミン内服,ジフルプレドナート,プロピオン酸アルクロメタゾン外用。
終了34日後頃 貼付部に四角形に色素沈着を残し軽快するも少数の紅色丘疹が残る。他の部位の紅斑は消退。 ベタメタゾン・d-マレイン酸クロルフェニラミン処方。
企業報告
併用薬:なし

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
20代
右下腿,足背打撲
(なし)
不明
19日間
(貼付剤)
接触皮膚炎,自家感作性皮膚炎
投与開始日 本剤を右足部に投与開始。
投与19日目
(投与中止日)
貼付部に境界明瞭なそう痒の強い紅斑が生じ,本剤投与中止。
 
中止3日後 浮腫が強くなり水疱形成,発赤増強を認めた。ステロイド外用薬で治療。
中止7日後 本剤を使用していない躯幹,四肢にそう痒を伴う赤色丘疹及び紅斑が発現。そう痒が強いためフマル酸クレマスチンを数日間投与。
中止13日後 原発巣,全身の撒布疹が軽快,消退した。
企業報告
併用薬:なし

(3)安全対策

 報告された重篤な副作用症例等を踏まえ,本剤について,より一層の安全な使用を図るため,添付文書の使用上の注意の改訂等により次のような注意喚起を行うこととした。

(1)直射日光等(紫外線)に関する注意
 貼付又は塗布後(使用後)に直射日光等(紫外線)を浴びやすいスポーツ,農作業等の戸外活動を行っていたことが明らかな症例が全身への皮疹拡大症例のうち約4割を占めたことから,
 医療用医薬品については,「重要な基本的注意」において「光線過敏症を発現することがあるので,使用中は天候にかかわらず,戸外の活動を避けるとともに,日常の外出時も,本剤貼付(塗布)部を衣服,サポーター等で遮光すること。なお,白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるので,紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること」を医療関係者から使用前に患者に対し指導するよう追記するとともに,「重大な副作用」にも「本剤の貼付(塗布)部に異常が認められた場合,患部を遮光し,適切な処置を行う」旨を追記し,
 一般用医薬品については,「してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなる)」において「本剤の使用中は,天候にかかわらず,戸外活動を避けるとともに,日常の外出時も本剤の塗布部を衣服,サポーター等で覆い,紫外線に当てないこと」を記載した。
 その一方で,背中など露出される可能性が低い部位で発現した症例など,全身への皮疹拡大症例のうち約2割の症例については直射日光等(紫外線)の曝露がなかったにもかかわらず発現したと推定されたことから,
 医療用医薬品については,「重要な基本的注意」において「紫外線曝露の有無にかかわらず,接触皮膚炎を発現することがある」旨を医療関係者から使用前に患者に対し指導するよう追記し,
 一般用医薬品については,「してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなる)」において先述のように「天候にかかわらず」という表現で注意を喚起することとした。
(2)本剤の投与終了後(使用後)における注意
 これらの副作用については,貼付剤及びテープ剤においては約5割の症例で,また,ゲル剤,ローション剤及びクリーム剤においては約9割の症例で投与終了後(又は中止後)1日以内に関連症状の発現が認められていたが,中には投与終了後数日を経過してから,又は光線過敏症の場合,最長で数ヵ月を経過してから関連症状の発現が認められた症例もあったことから,
 医療用医薬品については,「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」において,接触皮膚炎については「使用後数日を経過してから発現する場合がある」旨,光線過敏症については「使用後数日から数ヵ月を経過してから発現する場合がある」旨を医療関係者から使用前に患者に対し指導するよう追記し,
 一般用医薬品については,「してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなる)」において紫外線に係る注意の記載の後に「なお,塗布後も当分の間,同様の注意をすること(紫外線により,使用中又は使用後しばらくしてから重篤な光線過敏症があらわれることがある。)」を記載するとともに,「相談すること」の「次の場合は,直ちに使用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること」に接触皮膚炎,光線過敏症等の皮膚症状を記載し,「これらの症状があらわれた場合は直ちに使用を中止し,患部を遮光して医師の診療を受けること。なお,使用後しばらくしてから症状があらわれることがある。また,紫外線により症状があらわれたり,悪化したりすることがある」旨を記載し,注意を喚起することとした。
 なお,これらの症例では,紫外線の関与の有無が必ずしも明らかではないが,紫外線の比較的弱いと考えられる冬季に使用し,夏季になってから本剤の使用部位に症状が発現した症例や使用部位において接触皮膚炎を生じた後に戸外活動を行った結果,全身に皮疹が拡大した症例が報告されている。
(3)過敏症の既往歴に関する注意
 過去に本剤の使用により発疹等の既往歴がある患者が再度使用したところ発疹が全身に拡大した症例が報告されていることから,
 医療用医薬品については「重要な基本的注意」として「本剤又は本剤の成分により過敏症(紅斑,発疹・発赤,腫脹,刺激感,そう痒等を含む)を発現したことのある患者には使用しないこと」を追記することとし,
 一般用医薬品については,従来と同様に「してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなる)」の「次の人は使用しないこと」に「本剤によるアレルギー症状(発疹・発赤,かゆみ,かぶれ等を含む)を起こしたことがある人」を記載し,注意を喚起することとした。
(4)効能又は効果に関連する注意
 本剤の使用により重篤な接触皮膚炎,光線過敏症が発現することがあり,中には重度の全身性発疹に進展する例が報告されていることから,医療用医薬品については「効能・効果に関連する使用上の注意」に「疾病の治療上の必要性を十分に検討の上,治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用する」旨を追記することとした。


使用上の注意(下線部追加改訂部分)》


〈医療用ケトプロフェン外用剤〉
[禁   忌]
本剤又は本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
[効能・効果に関連する使用上の注意] 本剤の使用により重篤な接触皮膚炎,光線過敏症が発現することがあり,中には重度の全身性発疹に進展する例が報告されているので,疾病の治療上の必要性を十分に検討の上,治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。
[重要な基本的注意] 本剤又は本剤の成分により過敏症(紅斑,発疹・発赤,腫脹,刺激感,そう痒等を含む)を発現したことのある患者には使用しないこと。
接触皮膚炎又は光線過敏症を発現することがあり,中には重度の全身性発疹に至った症例も報告されているので,使用前に患者に対し次の指導を十分に行うこと。(「重大な副作用」の項参照)
(1)紫外線曝露の有無にかかわらず,接触皮膚炎を発現することがあるので,発疹・発赤,そう痒感,刺激感等の皮膚症状が認められた場合には,直ちに使用を中止し,患部を遮光し,受診すること。なお,使用後数日を経過して発現する場合があるので,同様に注意すること。
(2)光線過敏症を発現することがあるので,使用中は天候にかかわらず,戸外の活動を避けるとともに,日常の外出時も,本剤貼付(塗布)部を衣服,サポーター等で遮光すること。なお,白い生地や薄手の服は紫外線を透過するおそれがあるので,紫外線を透過させにくい色物の衣服などを着用すること。また,使用後数日から数ヵ月を経過して発現することもあるので,使用後も当分の間,同様に注意すること。
[副作用(重大な副作用)] 接触皮膚炎:本剤貼付(塗布)部に発現したそう痒感,刺激感,紅斑,発疹・発赤等が悪化し,腫脹,浮腫,水疱・びらん等の重度の皮膚炎症状や色素沈着,色素脱失が発現し,さらに全身に皮膚炎症状が拡大し重篤化することがあるので,異常が認められた場合には直ちに使用を中止し,患部を遮光し,適切な処置を行うこと。なお,使用後数日を経過してから発現することもある。
光線過敏症:本剤の貼付(塗布)部を紫外線に曝露することにより,強いそう痒を伴う紅斑,発疹,刺激感,腫脹,浮腫,水疱・びらん等の重度の皮膚炎症状や色素沈着,色素脱失が発現し,さらに全身に皮膚炎症状が拡大し重篤化することがあるので,異常が認められた場合には直ちに使用を中止し,患部を遮光し,適切な処置を行うこと。なお,使用後数日から数ヵ月を経過してから発現することもある。

〈一般用ケトプロフェン外用剤〉
[してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり,副作用が起こりやすくなる。)]
1.次の人は使用しないこと
(1)本剤によるアレルギー症状(発疹・発赤,かゆみ,かぶれ等を含む)を起こしたことがある人。
(2)ぜんそくを起こしたことがある人。
(3)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(4)15歳未満の小児。
2.次の部位には使用しないこと
(1)目の周囲,粘膜等。
(2)湿疹,かぶれ,傷口。
(3)みずむし・たむし等又は化膿している患部。
3.本剤の使用中は,天候にかかわらず,戸外活動を避けるとともに,日常の外出時も本剤の塗布部を衣服,サポーター等で覆い,紫外線に当てないこと。なお,塗布後も当分の間,同様の注意をすること。(紫外線により,使用中又は使用後しばらくしてから重篤な光線過敏症があらわれることがある。)
4.長期連用しないこと

[相談すること]
1.次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)本人又は家族がアレルギー体質の人。
(3)薬や化粧品等によりアレルギー症状を起こしたことがある人。
2.次の場合は,直ちに使用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること
(1)使用中又は使用後,次の症状があらわれた場合
 まれに重症化して発疹・発赤,かゆみ等の症状が全身に広がる場合があるので,下記の症状があらわれた場合は直ちに使用を中止し,患部を遮光して医師の診療を受けること。なお,使用後しばらくしてから症状があらわれることがある。また,紫外線により症状があらわれたり,悪化したりすることがある。

関係部位 症  状
皮ふ(患部) 発疹・発赤,かぶれ,かゆみ,はれ,刺激感,水疱・ただれ,色素沈着,皮膚乾燥

まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。

症状の名称 症  状
アナフィラキシー様症状 胸苦しさ,むくみ,じんましん,発疹等があらわれる。
接触皮膚炎,光線過敏症 塗布部に強いかゆみを伴う発疹・発赤,はれ,刺激感,水疱・ただれ等の激しい皮膚炎症状や色素沈着,白斑があらわれ,中には発疹・発赤,かゆみ等の症状が全身に広がることがある。

(2)1週間程度使用しても症状がよくならない場合
[用法及び用量に関連する注意]
(1)目に入らないよう注意すること。万一,目に入った場合には,すぐに水又はぬるま湯で洗うこと。なお,症状が重い場合には眼科医の診療を受けること。
(2)外用にのみ使用すること。
(3)1週間当たり50g(ローションは50mL)を超えて使用しないこと。
(4)ラップフィルム等の通気性の悪いもので覆わないこと。(クリームを除く)
(5)使用後は手を洗うこと。


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2 プロピオン酸クロベタゾール(ステロイドホルモン)を含有する「皮炎霜(ひえんそう)」について

(1)概要
 アトピー性皮膚炎等に使用される医薬品として,日本では薬事法上承認されていない医薬品「皮炎霜1)」に,既に承認を得ている医薬品とほぼ同濃度のプロピオン酸クロベタゾール(ステロイドホルモン)が含有されていることが判明した。本品を海外から個人輸入し(医師個人輸入を含む。)使用する例が多く見受けられるため,その使用に際しては,十分な認識のもとに使用するか,又は患者によってはその使用を中止することが必要であることについて,注意喚起するものである。

(2)「皮炎霜(ひえんそう)」について
 「皮炎霜」は中国合資上海日龍衛生材料製造有限公司(通称:日龍)が製造する外用軟膏剤であり,日本において承認を得ていない医薬品である。
 厚生労働省では,日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療問題委員会より,(1)本品にプロピオン酸クロベタゾールが含有されていること,(2)インターネットのホームページ上で個人輸入購入者を対象に販売されていたほか,国内の企業が無許可販売1)していたこと,(3)本品のパッケージ及び容器には成分表示がなく,ステロイドホルモンを含まない旨宣伝・広告されていたことについて,情報提供を受けたことから,調査を行った結果,本品に最も強いステロイドホルモンに分類されるプロピオン酸クロベタゾール(劇薬指定)を0.047%含有2)していることが判明した。これは,既に承認を受けている医療用医薬品とほぼ同量の有効成分の含有量である。
 なお,本品を無許可で国内販売していた企業については,既に福岡県より製品の回収等を指導しているところである2)

(3)健康被害の可能性
 日本で承認されているプロピオン酸クロベタゾール含有製剤では別表に示すとおり,ウイルス感染症等には使用しないこと(禁忌),大量又は長期にわたる広範囲の使用等により緑内障等の症状があらわれることがある(重大な副作用)としており,使用に際して細心の注意をもって使用されているところであることから,不測の有害事象が生じる可能性もあるほか,本成分の含有を知らずに使用していた場合,本来使用を避けるべき患者が適切な治療の機会を得られない可能性もある。
 なお,現在,具体的な健康被害事例の報告は得ていない。

(4)まとめ
 「皮炎霜」は,プロピオン酸クロベタゾールを含有する未承認医薬品である。これら未承認医薬品であっても,他の治療法がない場合など,個人が自らの責任において使用するため,又は医師が自らの責任において患者に使用するために輸入することは,薬事法上禁止されていないが,輸入される製品の成分等が不明である場合,不測の健康被害が起こり得ることを十分踏まえることが必要である。
 また,「皮炎霜」に使用されているプロピオン酸クロベタゾールは,細心の注意を払いながら使用することが適切な成分であることから,プロピオン酸クロベタゾールが既承認医薬品とほぼ同じ約0.05%を含有していることを認識し,患者の症状を踏まえ,適切な処置を行うとともに,必要に応じその使用を中止することが望ましい。

(5)その他
 本品以外のステロイドホルモン非含有をうたった類似品においても,個人輸入に際しては,成分,使用方法等十分確認する必要がある。

〈参考情報〉
1)皮炎霜(外箱,本体)
  外箱:「皮炎霜」「SUN DORAGON SKIN CREAM」「日龍」の文字
  本体:白い容器に「皮炎霜」「SUN DORAGON SKIN CREAM」の文字
     赤いフタに金色のライン。


2)http://www.mhlw.go.jp/houdou/0109/h0907-5.html

問い合わせ先
厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課
TEL 03-3595-2436


(別表)プロピオン酸クロベタゾール製剤(外用剤)の添付文書(抜粋)
禁忌
(次の場合には使用しないこと)
(1)細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬・けじらみ等)[感染を悪化させるおそれがある]
(2)〜(4)略
重要な基本的注意 1.皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが,やむを得ず使用する必要がある場合には,あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用),抗真菌剤による治療を行うか又はこれらとの併用を考慮すること。
2.皮膚萎縮,ステロイド潮紅などの局所的副作用が発現しやすいので,特に顔面,頸,陰部,間擦部位の皮疹への使用には,適応症,症状の程度を十分考慮すること。
3.大量又は長期にわたる広範囲の使用[特に密封法(ODT)]により,副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様な症状があらわれることがあるので,特別な場合を除き長期大量使用や密封法(ODT)を極力避けること。
4.本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化をみる場合は使用を中止すること。
5.症状改善後は,速やかに他のより緩和な局所療法に転換すること。
副作用注) 軟膏では,総症例8776例中,262例(3.0%),クリームでは,総症例7251例中,220例(3.0%)に副作用が報告された。その主なものは,皮膚萎縮〔軟膏91例(1.0%),クリーム54例(0.7%)〕,毛のう炎・せつ〔軟膏57例(0.6%),クリーム30例(0.4%)〕,毛細血管拡張〔軟膏42例(0.5%),クリーム40例(0.6%)〕であった。
重大な副作用 眼瞼皮膚への使用に際しては,眼圧亢進,緑内障,白内障を起こすことがあるので注意すること。大量又は長期にわたる広範囲の使用,密封法(ODT)により緑内障,白内障等の症状があらわれることがある。

注)プロピオン酸クロベタゾールの軟膏剤及びクリーム剤(医療用医薬品)の使用成績の調査結果

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3 盗難防止装置及び金属探知器の植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置(ペースメーカ等)への影響について



(1)はじめに
 盗難防止装置及び金属探知器から発せられる電磁波の影響により,ペースメーカ等が誤動作を起こす可能性について,平成11年6月発行の医薬品等安全性情報No.155「万引き防止監視及び金属探知システムの植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置への影響について」において広く注意喚起を行ってきたところである。しかし,今般,国内で,図書館内の盗難防止装置の影響により植込み型ペースメーカの設定がリセットされたとの症例が報告されたことを踏まえ,再度注意喚起を行うものである。

(2)現状
 これまで盗難防止装置及び金属探知器によるペースメーカ等への電磁波の影響について「医薬品等安全性情報」等により患者・医療機関等関係者に対して注意喚起を行うとともに,ペースメーカ等が受ける電磁波の影響に関する自己点検を行うよう,ペースメーカ等の輸入販売業者に対して指導を行ってきた。
 現時点では,盗難防止装置には,電波式,磁気式,音響磁気式など複数の方式が知られており,一方の金属探知器では盗難防止装置の磁気式と同様の方式が知られている。これら盗難防止装置及び金属探知器のペースメーカ等への影響について適切に評価する試験方法は未だ確立しておらず,また,現在も200種類以上のペースメーカが使用されていることを考慮すると個々の組み合わせの全てを検証することは事実上困難であり,ペースメーカ等について盗難防止装置及び金属探知器による影響を完全に排除するには至っていない。
 平成12年11月,海外において,盗難防止装置等の強い電磁場環境下で,植込み型心臓ペースメーカが出力停止したとの報告があったことから,同月,関係業界を通じて植込み型心臓ペースメーカ等の輸入販売業者等に対し,自主点検を行うよう指導を行ってきた。
 このような中で,実際に国内で盗難防止装置の電磁波の影響により植込み型心臓ペースメーカのプログラムがリセットされたとの報告が平成13年6月になされた。当該事例においては,患者に健康被害はなかったが,万が一の場合,患者に予期せぬ健康被害をもたらすおそれがあることから,国内の状況を調査し,適切な対策をとる必要がある。
 このため,これまで,厚生労働省ではペースメーカ等を使用する患者の安全性を確保するために,患者が盗難防止装置及び金属探知器から発せられる電磁波を回避するための環境を整備することが重要であると考え,一般的な電磁波への注意事項に加えて,盗難防止装置及び金属探知器による影響について,医療機関及び患者への一層の注意喚起を行うこととし,具体的には日本医用機器工業会傘下のペースメーカ協議会を通じて,ペースメーカ等の輸入販売業者等に対し,添付文書等の記載の見直しを行うよう指導を行った。また,これを受けてペースメーカ協議会ではポスター等を作成し,盗難防止装置に関する患者及び医療関係者の注意喚起に努めているとの報告も受けている。
 しかし,盗難防止装置は,景観等への配慮からわかりにくい場所に設置される場合もあり,患者が知らずに盗難防止装置に接近することもあり得ると憂慮しており,国内の大手と考えられる数社の盗難防止装置業者に対して,盗難防止装置の設置場所を明示する等の協力を要請してきた。一方,金属探知器についても数社の金属探知器業者に対して設置場所を明示する等協力の要請をしてきたが,金属探知器の大部分はその形状や利用目的から,積極的に設置場所を明示することが多いとのことであり,その設置場所がわかりにくいことは少ないと考えられる。このため,金属探知器については,盗難防止装置とは異なり,患者自らが注意を払うことで電磁波の影響を避けることは可能と思われる。

(3)患者に対する推奨事項
 ペースメーカを使用している大半の患者においては,盗難防止装置及び金属探知器が,これらの医療用具に与える影響によって,臨床上重篤な症状が起こることは少ないと考えられる。しかし,条件によっては,重篤な症状が起こることが否定できないため,すでに医薬品等安全性情報No.155に述べたとおりであるが,再度以下の注意事項を紹介する。
◆盗難防止監視装置や金属探知器に寄りかかるなど,これらのそばに必要以上に長く留まらないでください。
◆携帯型金属探知器でチェックを受ける必要がある場合には,警備担当者に対して自分が植込み型の電子医療機器を使用していることを告げ,携帯型金属探知器を当該医療機器のそばに近づけるのは必要最少時間にするよう依頼してください。
◆図書館等の公共機関や商業施設の出入口には,容易には確認できない場所に盗難防止装置がカモフラージュされている場合があることから,出入口付近では立ち止まらずに通り過ぎるようにしてください。
◆患者用取扱説明書や院内ポスター等で注意喚起を行っているので,これらの情報に留意するようにしてください。

(4)盗難防止装置業者,金属探知器業者,及びその利用者である販売店等に対するお願い
 盗難防止装置業者及び金属探知器業者においては,患者が装置の設置場所を容易にわかるような表示をはじめとする協力をお願いしたい。また,それらの利用者である販売店等においては,患者が盗難防止装置及び金属探知器からの電磁波を避けるための必要な協力,及び装置を設置している旨をわかりやすい場所に表示することなどをお願いしたい。

(5)医療機関に対する報告のお願い
 患者の安全確保の観点から,医療機関におかれては,日頃の診療において,これまで以上に患者に対して,強力な電磁波を発生させる機器が増えつつある現実と,それらの機器から身を守るための心構えについて,一層の指導をお願いしたい。特に患者が小児の場合は,保護者への指導の徹底も併せてお願いしたい。
 また,当省においては,当該事象に係る情報を収集しており,盗難防止装置及び金属探知器によりペースメーカ等に対し,何らかの影響が認められた場合には,医薬品・医療用具等安全性情報報告制度による報告をお願いしたい。

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4 重要な副作用等に関する情報


 医薬品・医療用具等安全性情報 No.166の『「医薬品・医療用具等安全性情報」の月刊化について』でお知らせしましたように,前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.172)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。

【1】アルプロスタジルアルファデクス(20μg注射剤)

販売名(会社名) タンデトロン注射用20(高田製薬)
注射用アピスタンディン(富士製薬工業)
注射用アルテジール20(大洋薬品工業)
注射用イプセリール(東菱薬品工業)
注射用プロスタンディン(小野薬品工業)
注射用メディプロスト(三共エール薬品)
薬効分類等 プロスタグランジンE1製剤
効能効果
I.動脈内投与
慢性動脈閉塞症(バージャー病,閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善
II.静脈内投与
  1. 振動病における末梢血行障害に伴う自覚症状の改善ならびに末梢循環・神経・運動機能障害の回復
  2. 血行再建術後の血流維持
  3. 動脈内投与が不適と判断される慢性動脈閉塞症(バージャー病,閉塞性動脈硬化症)における四肢潰瘍ならびに安静時疼痛の改善

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用(重大な副作用)] 無顆粒球症,白血球減少無顆粒球症,白血球減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
間質性肺炎:間質性肺炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,咳嗽,呼吸困難等があらわれた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
閉塞性動脈硬化症,
左足注射部の潰瘍(糖尿病,脳梗塞,慢性腎盂腎炎(感染疑),慢性腎不全,甲状腺機能低下症)
60μg
14日間
無顆粒球症
僧帽弁置換術と慢性腎不全で外来フォロー中。3ヵ月前に低栄養状態となり入院。全身状態の不良もあり,左足注射部位に潰瘍が出現。
投与開始日 潰瘍に治癒傾向がなく,本剤60μg/日を輸液1000mLに溶解し持続投与を開始。14日間投与で終了。
終了2日後 白血球減少(4100/mm3)と好中球減少(37%)が出現。
終了5日後 発熱38℃,CRPの上昇も認めた。G-CSF製剤を投与するも改善は認められず。
終了11日後 白血球:1300/mm3,好中球:0%。
終了13日後 不穏,血圧低下を認め,昇圧剤投与も効果なく敗血症性ショックで死亡。
企業報告
臨床検査値
  投与7日前 投与2日目 投与9日目 終了2日後 終了9日後 終了11日後 終了13日後
白血球数(/mm3 6800 5600 4000 4100 2100 1300 2500
好中球(%) 75 72 71 37 2 0 0
好酸球(%) 1.5 4.1 4.3 8.0 6.0 14.0 0.0
好塩基球(%) 0.0 0.3 0.5 0.0 2.0 1.0 0.0
単球(%) 8 9 8 9 8 4 2
リンパ球(%) 10 14 16 43 83 78 96
CRP(mg/dL) 8.8 4.8 8.1 8.9 21.9 23.2 25.1
体温(℃) 37.2 36.9 36.9 37.1 38.5 38.0 38.5
併用薬:塩酸チクロピジン,ワルファリンカリウム,アロプリノール,塩酸フラボキサート,塩酸タムスロシン,乾燥甲状腺


NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
50代
閉塞性動脈硬化症,
足趾切断術後の術創治癒促進
(糖尿病,慢性腎不全(透析中),高尿酸血症)
60μg
14日間
無顆粒球症
投与約30年前 糖尿病を診断され以後加療。
投与約3年前 透析導入及び右第1趾と右第4趾の切断術施行。
投与約1ヵ月前 深爪により右第3趾と左第2趾に傷を生じ,保存的処置で経過観察。
投与19日前 改善を認めず,同趾切断目的で入院。
投与17日前 切断術施行,セファゾリンナトリウムを4日間投与。
投与開始日 術創が治癒不良のため本剤20μg+生理食塩液50mLを1日3回,14日間投与。
終了5日後 白血球減少(1100/mm3),無顆粒球症(好中球:0%)を認め,全併用薬を中止。当日より無菌管理とし,G-CSF製剤(フィルグラスチム(遺伝子組換え)),ピペラシリンナトリウム,セフタジジムの投与を開始。
終了11日後 特に合併症もなく軽快。
企業報告
臨床検査値
  投与10日前 投与3日前 投与12日目 終了5日後 終了6日後 終了8日後 終了11日後
白血球数(/mm3 7000 5800 4600 1100 1300 1800 22100
好中球(%) 69 0 0 4 58
好酸球(%) 7 9 7 13 0
好塩基球(%) 1 2 2 3 1
単球(%) 8 14 13 23 9
リンパ球(%) 14 74 76 50 11
併用薬:アロプリノール,塩酸ジルチアゼム,硝酸イソソルビド,ニコランジル,ジゴキシン,アルファカルシドール



【2】塩酸ファドロゾール水和物

販売名(会社名) アフェマ錠1mg(日本チバガイギー)
薬効分類等 閉経後乳がん治療剤
効能効果 閉経後乳がん

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用(重大な副作用)] 高カリウム血症:重篤な高カリウム血症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
副腎不全:副腎不全があらわれることがあるので,観察を十分に行い,全身倦怠感,皮膚への異常色素沈着があらわれた場合には副腎機能を検査し,異常が認められた場合には,投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
30代
乳がん術後
(なし)
2mg
200日間
副腎皮質機能低下
投与約5年前 右乳がん手術施行。
投与約2年8ヵ月前 両側卵巣摘出術施行。ドキシフルリジン,クエン酸タモキシフェン,酢酸メドロキシプロゲステロンにて治療開始。
投与開始日 本剤のみにて治療を開始。
投与88日目 全身倦怠感,色素沈着が発現。経過を観察したが軽快せず。
投与148日目 ACTH99pg/mL,コルチゾール5.5μg/dL,アルドステロン2.0μg/dLと副腎不全の所見確認。
投与184日目 内分泌内科に転院し,副腎機能検査を実施したところ,ACTHの更なる上昇を認めた。
投与196日目 ACTHテストにおいても副腎予備能の低下を認めた。
投与201日目
(投与中止日)
本剤投与中止。その後,副腎皮質ステロイド剤にて症状コントロール可能。
 
企業報告
臨床検査値
  投与88日目 投与148日目 投与184日目 投与196日目
尿遊離コルチゾール(μg/日) 42
尿中17OHCS(mg/日) 3.3
尿中17-KS(mg/日) 2.4
コルチゾール(μg/dL) 6.5 5.5 6.8 6.8
アルドステロン(μg/dL) 3.0 2.0 2.7 2.7
レニン活性(ng/mL) 1.8 1.1 0.2
ACTH(pg/mL) 46 99 213 213
ACTH test(μg/dL) 前    6.6
30分後 7.9
60分後 7.7
併用薬:なし



NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由(合併症) 経過及び処置
2
40代
乳がん術後
(なし)
2mg
約6年間
急性副腎不全
投与約6年前 左乳がん手術施行。
投与開始日 2度目の再発後,本剤,酢酸メドロキシプロゲステロン,ドキシフルリジンにて治療を開始。
投与約6年目
(発現日)
起床時より両下肢の脱力があり,発現と改善を繰り返す。
 
発現3日後 A病院入院。
発現5日後
(投与中止日)
K7.8mEq/Lと高値のためB病院へ転院。この時点で本剤,酢酸メドロキシプロゲステロン,ドキシフルリジンの投与を中止し,グルコース・インスリン療法,ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(内服,注腸),輸液による治療開始。
 
中止5日後 低Na血症,低血糖,口腔粘膜への色素沈着が急速に進行したため,副腎不全の診断でヒドロコルチゾン1.5mg/日の経口投与開始。
中止21日後 症状が軽快し,歩行可能となった。
企業報告
臨床検査値
  発現5日後
(投与中止日)
中止2日後 中止3日後 中止4日後 中止6日後 中止8日後 中止21日後
赤血球数(×10/mm 339 319 289 239 265
血色素量(g/dL) 11.7 11.1 9.9 8.3 9.3
白血球数(/mm 5500 6200 4600 3100 4200
血小板数(×10/mm 31 27.6 22.8 18.5 17.7
BUN(mg/dL) 42.9 35.9 12.5 14.5 18.5
血清クレアチニン(mg/dL) 1.6 1.3 0.9 0.9 0.8
血糖値(mg/dL) 67 95 123 137 166
K(mEq/L) 7.4 5.8 4.6 4.0 3.7
Na(mEq/L) 129.3 125.2 114.8 122.4 133.0
pH 7.367 7.504
PaO(mmHg) 72.5 93.0
PaCO(mmHg) 24.1 23.2
コルチゾール(μg/dL) (<0.1) 13.4
ACTH(pg/mL) 661
レニン(ng/mL) 20<
尿中17OHCS(mg/日) 9.6
併用薬:酢酸メドロキシプロゲステロン,ドキシフルリジン

【3】ザルトプロフェン

販売名(会社名) ソレトン錠80(日本ケミファ)
ペオン錠80(ゼリア新薬工業)
薬効分類等 非ステロイド性消炎鎮痛剤
効能効果 ○下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
 慢性関節リウマチ,変形性関節症,腰痛症,肩関節周囲炎,頸肩腕症候群
○手術後,外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用(重大な副作用)] 急性腎不全,ネフローゼ症候群急性腎不全,ネフローゼ症候群等の腎障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,BUN・血中クレアチニンの上昇,乏尿,浮腫,蛋白尿,低蛋白血症等の異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
消化性潰瘍:消化性潰瘍(出血や穿孔を伴うことがある)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
無顆粒球症,白血球減少,血小板減少:無顆粒球症,白血球減少,血小板減少があらわれることがあるので,定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要
NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
60代
多発外傷,両側多発肋骨骨折,血胸,後腹膜出血,全身打撲,肝損傷
(なし)
240mg
25日間
出血性多発胃潰瘍
投与開始日 外傷,骨折,打撲に本剤(240mg/日),レバミピド(300mg/日)投与開始。
投与15日目 朝から嘔吐,少量吐血。かぜ症状あり。
投与17日目 ファモチジン(40mg/日),マレイン酸トリメブチン(300mg/日)投与開始。腹部症状なし。
投与25日目
(投与中止日)
来院し,採血にてHb6.2g/dL。内視鏡検査施行。多発胃潰瘍あり入院となる。 絶食,ファモチジン静注,輸液,水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム,トロンビン内服。
中止5日後 内視鏡検査にて潰瘍浅くなっており,食事開始。ファモチジン(40mg/日),レバミピド(300mg/日),マレイン酸トリメブチン(300mg/日)投与開始。水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム続行。含糖酸化鉄(鉄として80mg),5%ブドウ糖100mL点滴静注。
中止12日後 トイレで貧血発作あり。Hb5.9g/dLと貧血進行。緊急内視鏡検査で発赤露出血管あり。エピネフリン加高張食塩水(HSE)局注及びクリッピングにて止血を行い輸血。禁食,IVHとなる。
中止18日後 内視鏡検査にてA〜Hstageとなり,Hb10.0g/dL,食事再開。
中止31日後 退院。プロトンポンプ阻害剤,鉄剤を経口投与しつつ外来フォロー。自覚症状も改善。貧血も改善。
中止68日後 内視鏡検査にてSstageとなり,プロトンポンプ阻害剤をHブロッカーへ変更。鉄剤も中止してフォロー。
企業報告
臨床検査値
  投与開始日 投与11日目 投与25日目
(投与中止日)
中止11日後 中止12日後 中止18日後 中止33日後 中止40日後 中止68日後
赤血球数(×10/mm 308 269 194 207 182 313 373 419 456
ヘモグロビン〔Hb〕(g/dL) 10.4 9.1 6.2 6.8 5.9 10.0 11.9 13.1 14.6
ヘマトクリット(%) 31.4 28.2 21.1 22.6 19.8 32.5 37.9 42.2 44.2
併用薬:レバミピド,ファモチジン,マレイン酸トリメブチン


NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
80代
左大腿骨頸部骨折
(高血圧症,虚血性心疾患)
240mg
19日間
十二指腸潰瘍穿孔
投与開始日 転倒にて大腿骨頸部骨折を生じ入院。骨折に本剤(240mg/日)投与開始。
投与2日目 観血的骨接合術施行。
投与9日目 術後,食思不振続くため,胃内視鏡検査施行するも異常を認めず。
投与19日目
(投与中止日)
腹痛,嘔気出現。
 
中止1日後 X線,CTにて消化管穿孔の診断。
同日緊急手術にて,十二指腸潰瘍の穿孔と判明し,縫縮術施行。
術後経過良好。
中止6日後 経口摂取開始。
中止20日後 消化器症状完全に消失する。
中止29日後 現在特に問題となる所見なし。
企業報告
臨床検査値
  投与開始日 投与10日目 投与18日目 中止3日後 中止10日後
赤血球数(×10/mm 279 233 165 268 299
ヘモグロビン〔Hb〕(g/dL) 9.7 7.8 5.6 9.2 10.1
ヘマトクリット(%) 26.7 21.9 16.3 26.1 29.2
併用薬:マレイン酸エナラプリル,塩酸ベラパミル

【4】 ビカルタミド

販売名(会社名) カソデックス錠(アストラゼネカ)
薬効分類等 前立腺がん治療剤
効能効果 前立腺がん

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》
[副作用(重大な副作用)] 間質性肺炎:間質性肺炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

症例の概要

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
1
80代
前立腺がん
(なし)
80mg
13日間
間質性肺炎
投与約2年前 前立腺がんと診断された患者に対し,酢酸リュープロレリンの投与を開始。
投与前日 感冒症状が発現。
投与開始日 本剤の投与を開始。
投与5日目 呼吸困難が増悪し,入院。胸部X線上,右肺野にびまん性の浸潤影,CTでは左肺野にも認めた。
その後,酸素20L吸入まで呼吸状態悪化。
投与6日目 クラリスロマイシン,セフタジジムによる治療を開始。
投与7日目 喀痰培養は全て陰性であり,ステロイドパルスを施行した。好酸球の上昇を認めた。
投与9日目 症状は改善せず,クラリスロマイシン,セフタジジムの投与を中止。
投与13日目 2回目のステロイドパルスを施行した。
投与14日目
(投与中止日)
本剤の投与中止。
 
中止1日後 この頃より呼吸状態が徐々に改善。
中止17日後 シアル化糖鎖KL-6の高値を認めた。
中止18日後 酸素1L吸入まで呼吸状態改善。
中止約1.5ヵ月後 多臓器不全のため死亡した。(本剤との因果関係なし)
企業報告
臨床検査値
  投与5日目 投与6日目 投与7日目 投与11日目 投与13日目 中止1日後 中止5日後 中止12日後 中止21日後
白血球数(/mm 8790 7460 7650 8900 7900 10760 18630 12760 7900
好中球(%) 83.9 74.6 75.1 94.2 90.7 94.0 96.0 98.0
好酸球(%) 1.9 7.2 10.1 0.3 1.3 0.5 0.0 0.0
LDH(IU/L) 651 567 557 727 837
CRP(mg/dL) 14.7 13.0 15.2 4.0 6.4 9.3 0.1 2.8
併用薬:酢酸リュープロレリン,塩酸プラゾシン,サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・メチレンジサリチル酸プロメタジン,アモキシシリン,ジクロフェナクナトリウム,ゲファルナート,塩酸チクロピジン,アロプリノール,アテノロール

NO. 患者 1日投与量
投与期間
副作用 備考
性・
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置
2
70代
前立腺がん
(心房細動,洞不全症候群,貧血,耐糖能異常)
80mg
約22ヵ月間
間質性肺炎
投与6ヵ月前 前立腺がんと診断された患者に対し,フルタミドの投与を開始。
投与5ヵ月前 酢酸リュープロレリンの投与を開始。
投与開始日 フルタミドを本剤に変更した。
投与約20ヵ月目 酢酸リュープロレリンの最終投与。
投与約21ヵ月目
(発現日)
37℃台の発熱が発現。
セファクロル,イブプロフェンの投与を開始。
発現10日後 塩酸シプロフロキサシンの投与を開始。
発現15日後 咳,痰があり,気分不快,悪心が増悪した。
胸部X線にて右上肺野の肺紋理増強,血液検査上ではWBC正常だが,CRP上昇(6.4mg/dL),低酸素血症を認め,肺炎の診断にて入院。
入院時検査所見:PaCO38.1mmHg,PaO68.5mmHg,HCO−25.6mEq/L,OSat 95.2%,A-aDO112mmHg。
当初は右上葉の大葉性肺炎(細菌性)を疑い,セフタジジムを投与し,次いで,クラリスロマイシンの追加投与を行った。
CRP低下および低酸素血症の改善は認めたものの,胸部X線上の線状網状影はむしろ両肺野に拡大傾向を示した。
発現21日後 胸部CTでは,右上肺野のみならず,左上肺野や両中肺野に間質影を認めた。
発現27日後 Gaシンチでは,間質性肺炎に一致する所見を認めた。血液検査では,シアル化糖鎖KL-6,サーファクタントプロテインD(SP-D)の異常高値を認めた。
発現28日後 BAL所見は,細胞診:class1,培養:一般細菌は常在菌のみで,抗酸菌は陰性。TBLBの結果は,非特異的な間質性肺炎の所見であった。
発現38日後 DLSTにて,酢酸リュープロレリン及び本剤が陽性であった。
発現41日後 胸部CTにて,間質影の大幅な改善を認めた。
呼吸状態は,PaCO34.5mmHg,PaO87.7mmHg,OSat97.5%,A-aDO11.7mmHg,VC2.85L(89%),FEV1.0%74%,DLco11.04,DLco/VA3.07まで改善しており,また,労作時のSpOも92%程度であるため,ステロイド投与はせずに経過をフォローアップ。
発現46日後
(投与中止日)
本剤の投与中止。
 
中止11日後 DLSTにて,イブプロフェン,セファクロルについて陽性であった。
中止20日後 Gaシンチにて集積低下を認めた。
中止25日後 軽快し,退院した。
企業報告
併用薬:酢酸リュープロレリン,イブプロフェン,セファクロル,塩酸ベプリジル,ワルファリンカリウム,塩酸シプロフロキサシン


5 使用上の注意の改訂について(その132)

 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.172)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意(本号の「4 重要な副作用等に関する情報」で紹介したものを除く。)について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

〈不整脈用剤〉
酢酸フレカイニド(経口剤)
[販 売 名] タンボコール錠50mg,同錠100mg(エーザイ)
[重要な基本的注意] 本剤の投与に際しては,頻回に患者の状態を観察し,心電図,脈拍,血圧,心胸比を定期的に調べること。PQの延長,QRS幅の増大,QTの延長,徐脈,血圧低下等の異常所見が認められた場合には,直ちに減量又は投与を中止すること。特に,次の患者又は場合には,少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに,頻回に心電図検査を実施すること。なお,本剤の投与により,Torsades de pointes,Adams−Stokes発作が認められている。
[副作用(重大な副作用)] 循環器:心室頻拍(Torsades de pointesを含む),心室細動,高度房室ブロック,一過性心停止,洞停止(又は洞房ブロック),心不全の悪化,Adams−Stokes発作があらわれることがある。このような場合には,本剤の投与を中止し,次の処置法を考慮すること(「過量投与」の項参照)。
1)消化器から未吸収薬の除去
2)ドパミン,ドブタミン,イソプロテレノール等の強心薬投与
3)IABP等の補助循環
4)ペーシングや直流除細動
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈不整脈用剤〉
酢酸フレカイニド(注射剤)
[販 売 名] タンボコール注50mg(エーザイ)
[重要な基本的注意] 本剤の投与に際しては,必ず心電図及び血圧の連続監視を行い,PQの延長,QRS幅の増大,QTの延長,徐脈,洞停止,房室ブロック,血圧低下,動悸等の異常所見が認められた場合には,直ちに投与を中止すること。特に,下記の患者又は場合には,少量を投与するなど投与量に注意し,慎重に観察しながら投与すること。なお,本剤の投与により,Torsades de pointes,Adams−Stokes発作が認められている。
[副作用(重大な副作用)] 循環器:心室頻拍(Torsades de pointesを含む),心室細動,一過性心停止,心房粗動,Adams−Stokes発作があらわれることがある。このような場合には,本剤の投与を中止し,次の処置法を考慮すること(「過量投与」の項参照)。
1)ドパミン,ドブタミン,イソプロテレノール等の強心薬投与
2)IABP等の補助循環
3)ペーシングや直流除細動
〈参   考〉 企業報告

〈アンジオテンシン変換酵素阻害剤〉
リシノプリル
[販 売 名] ロンゲス錠5mg,同錠10mg,同錠20mg(塩野義製薬)他
[副作用(重大な副作用)] 血管浮腫:呼吸困難を伴う顔面,舌,声門,喉頭の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので,このような場合には直ちに投与を中止し,エピネフリン注射,気道確保等適切な処置を行うこと。
腹痛,嘔気,嘔吐,下痢等を伴う腸管の血管浮腫があらわれることがあるので,このような場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
溶血性貧血,血小板減少溶血性貧血,血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 Abdelmalek, M. F., et al.:Digestive Diseases and Sciences, 42(4):847(1997)
Santori, P., et al.:La Clinica Terapeutica, 142(6):517(1993)

〈Ca拮抗剤〉
ニトレンジピン
[販 売 名] バイロテンシン錠5mg,同錠10mg(三菱ウェルファーマ)他
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈プロスタグランジンE製剤〉
アルプロスタジル
[販 売 名] パルクス注5μg,同注10μg(大正製薬),リプル注5μg,同注10μg(三菱ウェルファーマ)他
[副作用(重大な副作用)] 無顆粒球症,白血球減少,血小板減少:無顆粒球症,白血球減少,血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al−P,γ−GTP等の上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈H受容体拮抗剤〉
シメチジン
[販 売 名] タガメット細粒20%,同錠200mg,同錠400mg,同注射液200mg(グラクソ・スミスクライン)他
[副作用(重大な副作用)] 意識障害,痙攣:意識障害,痙攣があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。特に腎機能障害を有する患者においてあらわれやすいので,注意すること。
〈参   考〉 企業報告

〈消化管運動促進剤〉
クエン酸モサプリド
[販 売 名] ガスモチン散,同錠2.5mg,同錠5mg(大日本製薬)
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈消化管運動改善剤〉
ドンペリドン
[販 売 名] ナウゼリン細粒1%,同錠5,同錠10,同ドライシロップ,同坐剤10,同坐剤30,同坐剤60(協和醗酵工業)他
[副作用(重大な副作用)] 意識障害,痙攣があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

〈脳下垂体後葉ホルモン製剤〉
オキシトシン
[販 売 名] アトニン−O 1単位,同5単位(帝国臓器製薬)他
[禁   忌]
警 告

分娩監視装置を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視すること。
  (分娩監視装置等を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視すること。を削除)
〈参   考〉 企業報告

10 〈子宮頸管熟化剤〉
プラステロン硫酸ナトリウム
[販 売 名] マイリス注,同腟坐剤(日本オルガノン)他
[効能・効果に関する使用上の注意] 頸管熟化の状態を診断して,慎重に適応を判断すること。
[重要な基本的注意] 本剤では,代謝物のエストロゲンにより,弱いながら子宮筋のオキシトシン感受性を亢進するとの報告があるので,本剤投与後は妊婦及び胎児の状態を心音計(ドップラー),分娩監視装置,胎動計測等により十分に観察し,異常が認められた場合には適切な処置をすること。
本剤投与後に陣痛誘発・促進剤をやむをえず投与する場合には,分娩監視装置を用いて妊婦及び胎児の状態を十分に監視し,異常が認められた場合には適切な処置をすること。
〈参   考〉 企業報告

11 〈プロスタグランジンF2α製剤〉
ジノプロスト(50μg製剤を除く)
[販 売 名] プロスタルモン・F注射液1000,同・F注射液2000(小野薬品工業)他
[警   告]
警 告

分娩監視装置を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視すること。
  (分娩監視装置等を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視すること。を削除)
〈参   考〉 企業報告

12 〈プロスタグランジンF2α製剤〉
ジノプロストトロメタミン
[販 売 名] プロナルゴンF注射液(住友製薬)
[警   告]
警 告

分娩監視装置を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視すること。
  (分娩監視装置等を用いて,胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視すること。を削除)
[重要な基本的注意] 過強陣痛や強直性子宮収縮により,胎児死亡,頸管裂傷,子宮破裂,羊水塞栓等を起こす可能性があるので,分娩監視装置を用いて子宮収縮の状態及び胎児心音の観察等十分な分娩監視を行うこと。
過強陣痛等は,点滴開始初期に起こることが多いので,特に注意が必要である。
(過強陣痛や強直性子宮収縮により,胎児死亡,頸管裂傷,子宮破裂,羊水塞栓等を起こす可能性があるので,分娩監視装置等を用いて子宮収縮の状態及び胎児心音の観察等十分な分娩監視を行うこと。
過強陣痛等は,点滴開始初期に起こることが多いので,特に注意が必要である。を削除)
〈参   考〉 企業報告

13 〈プロスタグランジンE製剤〉
ジノプロストン
[販 売 名] プロスタグランジンE錠「科研」(科研製薬)
[警   告]
警 告

本剤は点滴注射剤に比べ調節性に欠けるので,分娩監視装置を用いて胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視出来る状態で使用すること。
  (本剤は点滴注射剤に比べ調節性に欠けるので,分娩監視装置等を用いて胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視出来る状態で使用すること。を削除)
[重要な基本的注意] 本剤は点滴注射剤に比べ,調節性に欠けるので,分娩監視装置を用いて子宮収縮の状態及び胎児心音の観察を行い,投与間隔を保つよう十分注意し,陣痛誘発効果,分娩進行効果を認めたときは中止し,過量投与にならないよう慎重に投与すること。
(本剤は点滴注射剤に比べ,調節性に欠けるので,分娩監視装置等を用いて子宮収縮の状態及び胎児心音の観察を行い,投与間隔を保つよう十分注意し,陣痛誘発効果,分娩進行効果を認めたときは中止し,過量投与にならないよう慎重に投与すること。を削除)
〈参   考〉 企業報告

14 〈プロスタグランジンE製剤〉
ジノプロストンベータデクス
[販 売 名] プロスタルモン・E錠(小野薬品工業)
[警   告]
警 告

本剤は点滴注射剤に比べ調節性に欠けるので,分娩監視装置を用いて胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視出来る状態で使用すること。
  (本剤は点滴注射剤に比べ調節性に欠けるので,分娩監視装置等を用いて胎児の心音,子宮収縮の状態を十分に監視出来る状態で使用すること。を削除)
[重要な基本的注意] 本剤は点滴注射剤に比べ,調節性に欠けるので,分娩監視装置を用いて子宮収縮の状態及び胎児心音の観察を行い,投与間隔を保つよう十分注意し,陣痛誘発効果,分娩進行効果を認めたときは中止し,過量投与にならないよう慎重に投与すること。
(本剤は点滴注射剤に比べ,調節性に欠けるので,分娩監視装置等を用いて子宮収縮の状態及び胎児心音の観察を行い,投与間隔を保つよう十分注意し,陣痛誘発効果,分娩進行効果を認めたときは中止し,過量投与にならないよう慎重に投与すること。を削除)
〈参   考〉 企業報告
15 〈前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤〉
ナフトピジル
[販 売 名] アビショット錠25,同錠50(日本オルガノン),フリバス錠25mg,同錠50mg(旭化成)
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTP等の上昇を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

16 〈酵素製剤〉
塩化リゾチーム(錠剤,カプセル剤,顆粒剤,細粒剤)
[販 売 名] レフトーゼ顆粒(10倍),同錠,同錠(30mg),同錠(50mg)(日本新薬)他
[副作用(重大な副作用)] 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell 症候群):皮膚粘膜眼症候群,中毒性表皮壊死症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,紅斑,そう痒感,眼充血,口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

17 〈酵素製剤〉
塩化リゾチーム(シロップ剤,ドライシロップ剤)
[販 売 名] レフトーゼシロップ(シオエ製薬)他
[重要な基本的注意] 乳児において,本剤初回服用時にショック等のアナフィラキシー反応があらわれたとの報告があるので,患者の保護者に対して潮紅,蕁麻疹,顔面浮腫,呼吸困難等の症状について十分説明し,それらの症状があらわれた場合には,服用を中止させ,直ちに受診するよう指導する。
[副作用(重大な副作用)] 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell 症候群):皮膚粘膜眼症候群,中毒性表皮壊死症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,紅斑,そう痒感,眼充血,口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

18 〈タンパク分解酵素阻害剤〉
メシル酸ナファモスタット
[販 売 名] 注射用フサン,注射用フサン50(鳥居薬品)他
[副作用(重大な副作用)] 血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,血液検査等の観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
白血球減少:白血球減少があらわれることがあるので,血液検査等の観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

19 〈アレルギー性疾患治療剤〉
塩酸エピナスチン
[販 売 名] アレジオン錠10,同錠20(日本ベーリンガーインゲルハイム)
[副作用(重大な副作用)] 血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

20 〈アレルギー性疾患治療剤〉
塩酸セチリジン
[販 売 名] ジルテック錠5,同錠10(ユーシービージャパン)
[副作用(重大な副作用)] 血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

21 〈漢方製剤〉一般用医薬品
柴胡加竜骨牡蛎湯,麦門冬湯
[販 売 名] 柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(カネボウ)他
ツムラ漢方麦門冬湯エキス顆粒(ツムラ)他
[相談すること] 次の場合は,直ちに服用を中止し,この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること。
 まれに下記の重篤な症状が起こることがあります。その場合は直ちに医師の診療を受けること。
  間質性肺炎:せきを伴い,息切れ,呼吸困難,発熱等があらわれる。
〈参   考〉 企業報告

22 〈セフェム系抗生物質〉
セフィキシム
[販 売 名] セフスパン細粒50mg,同カプセル50mg,同カプセル100mg(藤沢薬品工業)他
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al−Pの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

23 〈セフェム系抗生物質〉
セフォタキシムナトリウム
[販 売 名] クラフォラン注射用(アベンティスファーマ),セフォタックス注射用(中外製薬)
[副作用(重大な副作用)] 肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉 企業報告

24 〈マクロライド系抗生物質〉
アジスロマイシン水和物
[販 売 名] ジスロマック細粒小児用,同錠250mg,同カプセル小児用100mg(ファイザー製薬)
[副作用(重大な副作用)] 間質性肺炎,好酸球性肺炎:発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等を伴う間質性肺炎,好酸球性肺炎があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また,投与終了数日後にも発現することがあるので注意すること。
〈参   考〉 企業報告


お知らせ
 NTTのファクシミリ通信網サービス「Fネット」を通じ,最近1年間の「医薬品等安全性情報」「医薬品・医療用具等安全性情報」がお手元のファクシミリから随時入手できます(利用者負担)。
「Fネット」への加入等についての問い合わせ先:0120-161-011
 なお,医薬品情報提供ホームページ(http://www.pharmasys.gr.jp/)又は厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)からも入手可能です。
 


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